2022.12.21 超音波AIが冷凍マグロの鮮度評価、富士通と東海大が世界初の技術開発

冷凍マグロの鮮度を超音波AI技術を富士通と東海大の共同研究グループが開発した

 富士通と東海大学の共同研究グループは、冷凍マグロの鮮度を超音波AI(人工知能)を活用して冷凍状態のまま非破壊で評価する技術を開発した。マグロの身を切ることなく、マグロの価値を維持しながら鮮度を評価できる世界初の技術だ。

 冷凍マグロの品質の判別は、マグロの尾の断面を熟練者が目視で確認する「尾切り」と呼ばれる選別手法が一般的。目視での確認は熟練者の職人技に頼られるため、品質評価の管理や価格高騰を招く要因とも指摘されている。

 共同研究グループは、マグロを品質評価する技術として超音波AIに目を付けた。まず冷凍マグロの超音波検査が可能な超音波の周波数帯を発見。正常な検体に比べ、鮮度不良の検体は中骨からの反射波が特徴的であることを突き止め、AIの機械学習を使って非破壊で鮮度の判定を行うことに成功した。

 21日に記者発表した富士通人工知能研究所の穴井宏和所長は「マグロの身を切ることなく冷凍マグロの価値を維持しながら、場所を問わず誰でもマグロの品質評価を行うことができる」と述べ国際展開も含めたマグロ流通の活性化に期待。東海大学海洋学部水産学科の後藤慶一教授は「おいしいマグロをどう提供するかに着眼して研究を続けていきたい」と話した。

 今後はマグロの検体数を増やして超音波AIの精度を高めるとともに、血栓や腫瘍などの鮮度不良以外の異常検知の研究にも取り組むことにしている。

(23日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)