2023.01.01 【AV総合特集】各社の23年事業戦略 シャープスマートディスプレイシステム事業本部 岡本寛文本部長

岡本 本部長

AQUOS XLED軸に
多彩な商品で生活の質向上

 テレビの需要は、アナログ停波以来11年が経過して、それ以前にあったエコポイント特需の際の買い替え需要が発生し、一時的な浮き沈みはあっても、この5~6年スパンで見れば安定した需要が見込めそうだ。

 買い替え需要の場合、いま使っているテレビがフルHDであり、大画面・高精細ニーズを背景に、4Kへの移行が進む。足元の状況ではテレビ全体の63%が4Kテレビとなっている。この大画面、高精細ニーズによりレコーダー需要でも4K化が進んでいる。また画素数が上がり、ハードディスクも大容量化している。

 テレビの商品トレンドは大きく四つのポイントがある。一つは大画面化で、2022年の平均インチ数は44.2インチで、4年前と比べると5インチ以上大型化している。現在50インチ以上は業界全体で38.6%で、3年前と比べ10%増えている。大画面といわれる55インチ以上は29%で、やはり10%近く上がっている。着実に大画面化が進んでいる。

 次に高画質化では、有機ELテレビ、ミニLEDテレビを合わせた構成比は22年44%で、3年前と比べ5%上がり、全体の約半数が高精細テレビとなっている。

 さらに高音質化とテレビの視聴スタイルの変化が大きな流れとしてある。地上波をリニアで視聴する人がいる一方、YouTubeなどネット動画を視聴する人が増え、一日のテレビ視聴時間8時間のうち、ネット動画サービスの視聴は2.15時間を占めている。これは19年比で1.8倍ほど伸びている。ネット接続率も85%と高い。

 23年もこの四つの大きなトレンドは持続し、いかに消費者のニーズを捉えるかという面で、大画面・高精細・高音質・スマート化への対応が商品戦略で求められる。

 21年12月に国内メーカーとして初めて、次世代ディスプレー・ミニLEDバックライトを搭載したフラッグシップモデル「AQUOS XLED」DP1ライン(55インチ/65インチ)を投入し好評だったが、第2弾として、EP1ラインを11月中旬から発売開始。DP1ラインより画質性能をさらに進化させ、またインチ数もDP1ラインの2機種から一気に55V型から75V型まで5インチ刻みで5機種の画面サイズをそろえ、設置シーンに合わせユーザーが選べるようにした。新画像処理エンジン「メダリストS4X」採用、没入感のある立体音響システムなどユーザー満足度を高める進化で、需要を喚起していく。

 また有機ELテレビ「AQUOS OLED」、液晶テレビ「AQUOS」も新19モデルを一挙に投入したので、AQUOS XLEDと合わせ、三つの軸で顧客のニーズに合わせ最適な商品を提案していく。2月末まではキャッシュバックキャンペーンにも取り組み、商戦を盛り上げていきたい。

 また「AQUOS 4Kレコーダー」「AQUOSサウンドパートナー」など、多彩な商材で、顧客の暮らしの質を高める提案に力を入れたい。