2023.01.01 【AV総合特集】各社の23年事業戦略 富士フイルム 山元正人取締役常務執行役員イメージングソリューション事業部長

山元 常務

販促続け次の10年へ第一歩
イメージング領域で成長推進

 昨年は、ミラーレスカメラを中心にデジカメの需要は旺盛で、当社にとってポジティブな市場トレンドが続いた。こうした中、当社は昨年、APS-Cサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラ「Xシリーズ」の10周年を迎え、第5世代の画像センサーと画像処理エンジン搭載の新製品を矢継ぎ早に投入した。

 7月に、高速連写性能を高めネーチャーやスポーツの撮影に適した「X-H2S」、9月には、4000万画素の高画素センサーによりポートレート撮影などの表現力を高めた「X-H2」を発売。両機種を〝ダブルフラッグシップ〟として展開している。また11月には、写真機としての魅力を追求した「X-T5」も投入するなど、ミラーレス市場をけん引している。新製品の販売は好調で、特にX-T5は想定を大幅に超える引き合いが続いている。

 レンズでは、5本の新製品を発売。Xシリーズ用交換レンズで41本、ラージフォーマットセンサーを搭載した「GFXシリーズ」用交換レンズで15本までラインアップを広げている。近年、機動性などの観点から、APS-Cサイズセンサーが市場でますます注目を集めているが、当社はXシリーズを展開した当初から、小型・軽量を追求してきた。

 X-H2は、フルサイズセンサー搭載機と同等またはそれ以上の4000万画素を実現している。当社は、新製品を通じて〝富士フイルムらしい〟小型・軽量はそのままに、APS-Cサイズセンサーでさらなる高性能化が可能であることを市場に提案した。また、進化した新製品により、当社のファンを増やし、ユーザーの裾野を拡大できたと考える。今年も、製品プロモーションを続け、次の10年に向けた第一歩を踏み出していく。

 GFXシリーズでは、クリエーターの創作活動を支援する助成プログラム「GFX Challenge Grant Program」の第2弾を実施している。21年に開催された第1弾では約3000人の応募があり、計15人の受賞者が制作した作品を昨年11月にフジフイルムスクエア(東京都港区)で展示した。

 昨年の事業は、新製品投入の効果もあり大きく伸びた。いい画像やいい映像を撮りたいといった一定のニーズは存在し、メーカーが魅力ある製品を投入すればマーケットは拡大できる。今年も、お客さまのニーズに合わせて、デザインや質感、性能などを効果的に組み込んだ製品を投入し、飛躍の年にしたい。また、イメージングソリューション全体としても、さらなる高みを目指していく。

 昨年、スマホプリンターとして、ARエフェクトを用いて空間に描画できる「INSTAX mini Link 2」や、チャットのメッセージを重ね合わせてプリントできる「INSTAX SQUARE Link」を発売した。今後も撮影デバイスからプリンティングまで幅広いアセットを持つ強みを生かし、イメージング領域で成長を追求する。