純正オーディオ高音質化へ
市場ニーズ見極め製品投入

　半導体不足や部材不足などの影響から自動車業界は2022年も新型車の納期遅れの影響が出るとともに、カーエレクトロニクス市場も一部で市販カーナビゲーションシステムの供給が滞るなど苦しい状況が続いた。

　当社は長年培ってきたカーナビやカーAV取り付けキットで培ってきた経験とノウハウを生かし、人気の新型車に対応したキットの発売をはじめ、安心・安全を実現する製品開発にも取り組んできた。昨年は純正オーディオの音を手軽に高音質化できる提案も始めた。23年は安心・安全に加えエンターテインメントの観点からも新たな価値を訴求していく。

　自動車業界はCASE（コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化）と呼ばれる時代を迎え、新型車はコネクテッド化が進み、電動化も本格化してきている。これに伴い市販カーエレクトロニクスの市場も大きな転換期を迎えており、市場の動きを捉えた製品開発と展開が一層求められている。

　そうした中、カーナビの市場は大画面化が進むとともに、運転時の安心と安全を求める声が大きくなっている。この一年で人気の新型車を中心に取り付けキットを着実に発売するとともに、安心・安全の領域では上空から俯瞰（ふかん）できる独自の全方位駐車支援システム「サテライトビューカメラ」（トヨタ・アルファード/ヴェルファイア用）を訴求してきた。バック時にナビ画面に出るガイドラインをハンドルと連動して表示するガイドラインアダプターも好評だ。

　昨年は純正オーディオの音を改善する純正サウンドアップ用コード「ESシリーズ」を発売した。最近の新型車は社外ナビへの交換やスピーカー交換ができない車種もあり、純正オーディオの音で諦めてしまっている人もいる。こうした人たちに純正でも手軽に高音質化を実現できるコードを開発。配線加工せずにパワーアンプやウーハーを取り付けられ低コストで音質を飛躍的に改善できる。

　一度音を聴いてもらえば違いがすぐに分かるもので、体感した販売店などからは高い評価を得ている。純正の音で諦める必要がないことを知ってもらいたい。今後は市販カーオーディオメーカーやカー用品店と連携しイベントや実演ができるようにしていくとともに、純正システムの配線加工が必要ないため、ディーラーなどとの連携も模索していきたい。さらにDSP（デジタルシグナルプロセッサー）の製品化についても検討していく。

　安心・安全ではハンドル舵角（だかく）連動ガイドラインに加え、バックカメラの俯瞰映像も表示できるキットを開発中だ。業務用途では、幼稚園や保育園などの送迎バスの置き去り事故防止のための警報装置も発売する。人感センサーなどを活用した装置を開発中で今年発売する予定だ。

　23年も引き続き市場環境は不透明だが、市場環境や消費者需要を把握した製品開発と発売を心掛ける。単純に新型車に合わせて取り付けキットを発売するのではなく、市場ニーズを見極め本当に必要とされている製品を市場に出していきたい。