2023.01.01 【AV総合特集】各社の23年事業戦略 パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション 豊嶋明代表取締役社長執行役員兼CEO

豊嶋 社長兼CEO

くらしスタイルシリーズを提案
新しい体験価値を提供へ

 新型コロナの影響で、この3年間はさまざまなことが変化したが、2023年はモードが変わる1年になるだろう。外出が増え、国内外で人の行き来が出始め、消費もコロナ前までとはいかなくても動きが出てくるだろう。巣ごもり需要が一巡し、部品調達難も限定的となって物流の混乱も落ち着く中、新型コロナと共存しながら、経済が回っていくだろう。

 一方で、原材料高騰によるコスト高は依然として残り、諸物価が高騰する中、消費者が予算を何に使うか厳しく吟味して慎重になるだろう。

 その中で、価値あるモノ、良いモノが選別される。すなわち商品力があるものは選ばれ、ないものは選ばれなくなるシビアな状況が国内外で生じるだろう。

 商品力を高める戦略として取り組んでいることの一つが、「くらしスタイルシリーズ」の提案だ。現在好評で、今までのテレビとは一線を画す、新しい価値づくりが高く評価いただけている。

 くらしスタイルシリーズは、ライフスタイルの変化に合わせ、新たな体験価値を提供する。持ち運びが自由な「プライベート・ビエラ」、自由に設置場所を変えられる「レイアウトフリーテレビ」、また22年11月から新たに設置場所と設置後の空間を自由にできる「ウォールフィットテレビ」を投入し、店頭で一目見て今までのテレとは違った新しい価値を体感いただけるため、販売店からも顧客にお薦めしやすいと好評だ。

 ウォールフィットテレビは、取扱説明書も従来の冊子から1枚の大きな紙(実寸大)へと変更した。設置する壁面の位置決めに使え、壁かけ用のピンの場所も分かりやすく示すようにするなど工夫をして、取説にもこれまでと違ったアプローチを行った。

 開発においては、事業会社制がスタートしてから仕組みを変えた。企画、設計、デザイン、製造など関係するスタッフが1チームとなって取り組んでいる。4K放送の無線伝送技術もテレビとレコーダーの設計部隊が一体で開発したものだ。

 従来のようにテレビならテレビだけの設計に携わるといったタテ割をやめ、技術センターに集約。テレビ、レコーダー、オーディオ、ソフトウエア開発や機構設計といった異なった職種の技術者が一体となり、横のつながりを強めたことが、開発の効率化・期間短縮にもつながっている。

 新しい体験価値を提供する商材として、ミラーレス一眼カメラ LUMIX GH6やS5も好評だ。動画配信の文化が拡大する状況下、クリエーターの上質な映像を撮りたいというニーズに応えて、使い勝手や機動性、信頼性などを向上させて高い評価を得ている。

 23年は、より商品力が試される。引き続き価値を認めていただけて、当社にしか出せない一線を画す商品を投入していく。22年のスローガンは〝挑む〟だったが、23年はこれを継承し〝さらに挑む〟をスローガンにして高みを目指したい。