2023.01.04 【家電流通総合特集】家電流通 我が社の戦略 コスモス・ベリーズ 牧野達代表取締役社長
牧野 社長
異業種の地域密着店つなぐ ローカルプラットフォームを各地で立ち上げへ
当社は現在、電気店、燃料店、電気工事店、工務店の4業種を中心に全国で3900店近い地域密着店をネットワークしている。
コロナ禍3年目となった昨年は、加盟店(電気店)の売り上げが前年比100%弱で推移した。中国の上海ロックダウンやロシアによるウクライナ侵攻により、お客さまは電気代や物価高の対策として、省エネ性能の高い商品を購入する傾向が強まった。節電して長く使いたいという意識も高まり、商品単価がアップしている。例えば、500リットル以上の高機能冷蔵庫や節水型ドラム式洗濯機乾燥機、高付加価値型の調理家電などがよく売れた。
今年は、高齢の夫婦や単身の高齢者世帯のお客さまを持つ地域密着店の生産性向上と経営貢献につなげる活動を重視していく。そのためにも、お客さまの全ての困り事を地域密着店のネットワークで解決する「ローカルプラットフォーム(LPF)」を各地で立ち上げ、普及させていきたい。全国各地で立ち上げるにはまだ時間はかかるだろうが、LPFは他社が参入できない当社ならではの強みであり、力を入れていく。
LPFは異業種による地域ネットワークになる。さまざまな業種・業態の地域密着店が、多様なお客さまの困り事を解決したいというコンセプトに賛同して連携していかなければならない。そのためにも、当社がLPFの立ち上げを主導していくというよりも、加盟店の自主性をあくまで大事にしている。地域密着のネットワークが必要という思いがなければ、継続が難しい面もあるからだ。
地域社会に貢献するLPFは、新潟県上越市や魚沼市、長野県長野市などで設立されている。それぞれ地域密着店が地域社会に貢献する取り組みとして、地域で必要とされている。
上越市のLPF「ズバッと!解決上越」は、設立当初の8店(業種)から現在では25店(業種)にメンバー店が拡大している。建設業、建築設計、建物・構造物の解体、内装工事、行政書士、司法書士、便利業、マッサージ・リハビリなど、今では多様なメンバーがそろっている。
高齢者の困り事解決
特に高齢のお客さまからは、多岐にわたる困り事の相談が寄せられる。LPF加盟店のネットワークでそれらに対応、解決することで、地域で存在感を発揮している。自治体からも必要な存在として見られるほどだ。
立ち上がっているLPFは、それぞれの方針に基づき、業種を絞りながら加盟店を強化している。加盟店を無理に増やすようなことはしておらず、お客さまの困り事解決に必要なメンバーをそろえているという形だ。
健康に不安を抱える高齢のお客さまは、日常生活の中で以前は無理なくできていた動作ができなくなったり、困難になったりしている。そのため、買い物やサービスを受けること、情報の収集などに課題を抱えていることが少なくない。
こうした課題をメンバー店の横の連携で解決するのがLPFだ。加盟店はそれぞれ専門性を持っているため、お客さまの依頼内容に合わせて対応できるメンバー店が対応していく。加盟店それぞれがお客さまを紹介し合うことで活性化を図るとともに、地域社会の貢献につなげることが、LPFの目指す取り組みだ。
今年の当社方針としては、住設商品を中心とした発注・情報サイトの「BFC.Netプラス」「即日配送サービス」「本部と加盟店の交流強化」という3点に力を入れていく。
BFC.Netプラスは、家電商品を発注できるBFC.Netに加え、住設商品を発注できるシステムとして昨年6月にスタートした。リフォーム事業に取り組んでいる電気店は、売り上げの3~4割を住設リフォームが占めている。売り上げアップや顧客開拓面で住設商品は不可欠な商材となっている。
住設商品取り扱い
住設商品の取り扱い対象は、住設エアコン、エアコン部材、エコキュート、IHクッキングヒーター、便座、照明器具、換気扇、レンジフード、洗面化粧台、住宅火災警報器、インターホン、宅配ボックスなど、快適な生活を送る上で欠かせないものばかりだ。今年はエネルギー事情の関係で、太陽光発電システムや蓄電池の需要にも期待している。
昨年夏からサービスを開始した「大型商品の配送サービス」は、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビの4商品を対象に、お客さま宅に配送・設置または加盟店に即日納品するものだ。今年は大型商品に加え、中小型商品も即日配送サービスを行う。
従来、お客さまから注文された商品の即納には、ヤマダデンキ店舗での「直取りサービス」を利用する必要があった。しかし、加盟店の近隣にヤマダデンキ店舗が無い場合、遠方の店舗へ商品を取りに行かなければならず、加盟店にとっては大きな負担となっていた。今後はその解決を目指した即日配送サービスで、加盟店がより活用しやすい仕組みを構築していく。
本部と加盟店、さらに加盟店同士の横のつながりも強化し、本部からは最新の情報提供を図るとともに、加盟店の声を戦略に生かしていく。リアルとリモート会議を随時実施することで、地域密着の商売に取り組む地域密着店の毎日の活動に貢献していきたい。