2020.01.22 【20年 我が社の戦略】堀場製作所・堀場厚代表取締役会長兼グループCEO

堀場 会長

成長市場・分野にアプローチ

 HORIBAは、創立70周年を迎える23年度売上高3000億円、営業利益400億円、当期純利益300億円を目標とする中長期経営計画「MLMAP2023」(19-23年度)を進めている。「潮目の変わった時に、変化に的確に対応していけるかが大事だ。皆が良い時代は終わり、寡占化が進む。勝ち組に入らないと恩恵は受けられない。総合力を発揮して高いシェアを取っていかなければならない」と話す堀場厚代表取締役会長兼グループCEOに戦略を聞いた。

 ―市況はいかがですか。

 堀場会長 過去最高の業績を挙げた18年度から一転、19年度は自動車、半導体市場でかなり逆風が吹き厳しい年だったが、落ち込みは思っていたほど底抜けしなかった。半導体は昨秋ごろから戻ってきている。急激な立ち上がりはないが、絶対需要は増えると期待している。

 自動車も電動化にシフトしており、生産台数はまだまだ小さいが、研究開発のインパクトは大きく、それが当社にきている。18年度のような特別ボーナスはなくなったが、マーケットをキャッチアップして変わった潮目を乗り切っていかなければさらなる成長はない。

 ―特に力を入れていかれるのは。

 堀場会長 中国、インドはこれから外せない国だ。中国はマーケットもあるし、投資意欲も強い。当社を単なるサプライヤではなく、パートナーとして見てもらえ、大学とも様々な取り組みも進めている。フランス、米国で開発した研究用オプティクスの分析計が研究機関や大学に売れている。

 上海市嘉定区に自動車計測試験ラボや、科学分析アプリケーションセンター、製品ライフサイクル全体をサポートするテクニカルセンターを有する新拠点をつくる。11月に起工式、21年4月に完成の予定。自動車をメーンに医用以外の環境・プロセス、半導体、科学も手がけていく。インドはプネに実験、開発拠点を設け、現地の自動車メーカーへの対応を強化している。医用にも期待している。

 ―楽しみですね。

 堀場会長 海外は日本から対応するには限界がある。特に中国はモノづくりやサービスを現地化していかなければ成功しない。買収したイギリスのマイラ社の車両、駆動系、エンジンの計測機器/テストオートメーションシステムの試験手順、エンジニアリング、ドイツのフューエルコン社の電動化車両のバッテリや、燃料電池開発の評価設備など試験手順、エンジニアリングを日本、中国、米国に広げていけば効果は何倍にもなる。

 いろんな意味で投資をしていかなければならない。成長している市場、分野にアプローチしているので投資ピッチとマーケットのピッチがリンクすればうまくいく。

 ―求められるものを持っているのは強いですね。

 堀場会長 お客さまも市場の変化に対し、危機感をもっておられ、人材がいて、技術のある相手と組みたがっている。サプライヤとしてではなく、パートナーと言っていただけるのもそのためだ。

 医療でも、シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティックス社と血球カウンターをOEM供給する長期パートナー契約を17年10月に結んだ。当社の血球計測の技術、性能、モノを超一流メーカーに信頼できると認めていただけているからだ。OEM供給をはじめとする、シーメンスとのウィン・ウィンの成果が出るのは20年度後半からになる。

 18年1月に社長交代して2年。私がグループ全体をみて私にしかできない経営決断を行い、齋藤壽一代表取締役副会長がグループCOOとして私を実務面から補佐し、足立正之社長が堀場製作所、技術をみる体制がうまく機能している。