2023.01.11 【電子部品総合特集】エレクス 金子 高一郎社長 パートナー企業をさらに増やす

金子 社長

 長年、コンピューター機器のワイヤハーネスの生産や、プリント基板製品の試作から量産、装置ユニットの生産で実績を積んできた。40年以上培ってきた技術力により、企画から設計、試作、評価、量産まで一貫体制で小回りの利いた対応ができることが大きな強みになっている。

 2022年は世界的な半導体不足や部材不足の影響を受けているものの受注は堅調に推移している。特にプリント基板関連や組み立て装置、ハーネスの受注が良い。用途別にみるとプリンター向けや医療関係が好調だ。新たに宇宙開発関連の受注もでき新規も少しずつ広がりつつある。

 20年7月からカーAV用品や搬送機器の開発製造を手掛けるカインズ(東京都葛飾区)グループに入り、さまざまな改革に取り組んできた。従来型の受託開発だけでなく技術ノウハウを生かして開発の幅を広げてきている。

 これまでプリント基板やハーネスの生産は別にしていたが、技術者を多能工化し、柔軟な生産体制を構築。受託の幅を広げられるようにした。あわせてカインズグループのワイヤハーネス事業を当社へ完全に移管し、高山工場で生産している。

 昨年7月には最新のマウンターも導入した。これによりラインを止めずに高効率な生産ができるほか、超小型チップの基板実装にも対応できるとみている。新技術では高温を嫌う精密部品の実装補強ができ、車載部品の実装などで信頼性を高める低温硬化性二次実装の提案も始めた。

 23年の市場見通しは不透明感があり、先々の新規開発が滞っている企業もあるため、多くの企業が抱える困り事に柔軟に対応していきたいと考えている。ハーネスなども含め、汎用(はんよう)的に作れない専用品の生産ができることも強みになるため、パートナーとなる新規企業をさらに増やしていきたい。

 当社はPCB(プリント基板実装)だけでなくFPC(フレキシブルプリント基板実装)の試作と量産実績もある。小ロットから柔軟に生産でき納期も早い。小回りが利くため素早い対応を前面に出していきたい。カインズグループとのシナジー(相乗効果)もさらに出せるようにして独自製品の開発にも取り組んでいく。

 グループ傘下に入り売り上げも順調に拡大し生産性も高まりつつある。25年に売上高25億円を目指したい。