2023.01.11 【電子部品総合特集】北陸電気工業 多田守男社長 3N戦略へのセールス活動強化

多田 社長

 22年はいろいろなことがあった年だったが、何よりビジネス面で大きく影響を受けたのは急速な円安進行。円安が追い風となり、今年度の通期売上高は過去10年来で最高となる見込み。各利益も10年来での最高益の見通しだ。

 23年は日本経済、世界経済全体はコロナ禍が終焉に近づき、ポストコロナ、ウィズコロナの状態に確実になっていくと予想される。そうすれば消費も上向き、マクロでの経済回復が期待できる。

 一方でエレクトロニクス市場や自動車市場は懸念も多い。一つは半導体不足の長期化。為替も22年10月頃の水準と比べ22年末には相当に円高が進むなど、先が読めない状況。それでも、コロナ禍が終焉に近づけば経済にはプラスであるため、そうした観点で来期の事業計画を策定したい。

 23年も基本的な戦略に大きな変更はない。重視するのは「新製品(新技術)」「新顧客」「新分野」の「3N」戦略。これに向けたセールス活動を強化する。

 当社はこれまで家電系の顧客との関係が深かったが、最近は大手家電メーカーが「コト売り」にビジネス転換している。CEATEC2022での各社の展示物からも、それを強く感じた。

 「モノ売り」は海外の完成品メーカーが力を入れているため、当社も海外顧客への拡販を強化する。それとともに、当社は日本の電子部品メーカーであるため、やはり日本のセットメーカーが注力する分野に入っていく必要がある。自動車市場への展開は従来強化してきたが、日本メーカーがグローバルで高シェアを持つ半導体製造装置、工作機械、医療機器などの分野のユーザーへのアプローチを強化していきたい。

 設備投資ではチャイナリスク回避のため23年はASEANの生産を強化する方針。タイ工場やマレーシア工場での投資を増やしていく。インドネシアでのモノづくりも23年は確実に始動させる計画。インドネシアではオートモーティブ関係のモノづくりを行う。自社工場にするか委託工場になるかは未定だが、23年中頃には生産開始できると考えている。

 中計最終年度の24年度の売り上げ目標は460億円だが、この数字は為替動向にかかわらず達成したい。個人的な夢としては、創業100周年の年に売り上げ1000億円を達成したいと思っている。