2023.01.11 【電子部品総合特集】タムラ製作所 浅田昌弘社長 省エネ新製品を成長市場で強化

浅田 社長

 中国ロックダウン、ウクライナ情勢など激動の中で始まった昨年。足元の状況では、価格改定の取り組みなどが奏功。多くの分野で市場が立ち上がってきたのに加えて、為替動向もプラスに働いた。

 また昨年は2025年3月期までの中期経営計画を策定、その始動の年になった。カーボンニュートラルに貢献する事業成長など「ありたい姿」を盛り込み、計画最終年度となる創業100周年や、その先への変革を掲げた。連結売上高1000億円、営業利益60億円以上を打ち出している。内容の構成比などは変わっても、水準は達成していきたい。

 為替変動の影響は事業分野ごとにさまざまだが、かねて取り組んできた工場の自動化推進や拠点再編による物流改善なども収益性を改善し、持続可能な経営につながっている。

 欧米では引き続きカーボンニュートラル関連の引き合いが強く、大型トランスなど好調。ドイツで買収した会社を活用してソルダーペーストも展開。電気自動車(EV)対応の体制も整っている。

 節エネ関連分野では日系の空調各社の動きも非常に盛んで、こうした需要にしっかりと応えていく。

 また米国では、脱炭素関連、EVが引き続き伸び、データセンターが活況を続けている。これらの先についてゲートドライバーモジュールや電流センサーなどセットで展開していけるのも強みだ。

 海外事業では、高機能で省エネにつながるリフローの新製品について、中国、中南米をはじめ成長市場で強化していく。リーチできていなかった先の開拓に加え、更新需要もつかみたい。好感触を得ている。また化学と併せての販売も図る。

 音声卓も新投入した製品が好調で、有力先に納入が決定。今後、新しい展開も探っていきたい。次世代半導体は、EV需要本格化を見据えて対応する。

 そろそろ本格的に考えたいのはインド市場展開。これまでも試みてきたが、チャイナプラスで、ASEANなどに展開する先に立ち上げを探りたい。

 中計では、創業の原点に立ち返り、時代の変化を先取りした製品・サービスを提供することやコア技術の強みを生かした製品展開、素材からエレクトロニクスへのアプローチ、電子部品事業と電子化学実装事業との両輪化などを掲げた。引き続き「Oneタムラ」を強化していく。