2023.01.11 【電子部品総合特集】NKKスイッチズ 大橋智成社長 社員が一枚岩になり納期改善

大橋 社長

 2021年以降、半導体不足や材料調達難などの影響から、ややバブル的な受注が入るような状態だったが、現状は日本や中国はやや落ち着きを取り戻している。ただそれ以外の地域では現在でも堅調に推移している。今も納期面で顧客に迷惑をかけているため、メーカーとして一日でも早く顧客に商品を供給できるよう努める。

 当社は21年に、10年後の30年のあるべき姿に向けた新たなグループビジョン「私たちが笑顔となり、お客様の困りごとを顧客目線で解決する真のパートナーとなります。」を策定した。その上で22年度から、3カ年の中期経営計画を3回実施し、これにより30年度のグループビジョン達成を目指す。

 22年度からスタートした新中期経営計画(3カ年)では、新たな行動理念として「信頼し、信頼される良い会社」を制定し、特に「信頼」と「納期」を重点テーマとした。中計1年目の22年度は、グループビジョンを実現するための土台づくりの年と位置付け、「信頼」と「納期」に重点を置いた取り組みを進めている。

 人と人との信頼が結束力になる。社員が一枚岩になることで土台がしっかりする。これが最も大事だと考えている。納期は一般に生産部門の問題だと思われがちだが、実際は販売部門も納期に貢献できる。的確な品番や納期情報をつかみ、生産部門に情報を伝えることで納期改善につながる。開発部門がシンプルな構造の商品設計を実現すれば歩留まり向上に寄与できる。総務部が気持ちよく働ける環境を整えることも納期改善につながる。「納期は会社全体の問題である」と捉えるようにする。

 信頼度を高めるためにエンゲージメント向上を重視する。従業員サーベイも実施しているが、前向きな意見が得られている。納期面は即座に改善するのは難しいが、水面下ではさまざまな策を講じている。その一つとして、金型の更新や修理、新規金型製作などを強化しており、今年度の金型の更新や修正の件数は例年の4倍ぐらいになる見通し。そして金型完成後の試作検査、量産への流れの中で、ボトルネックの解消に努める。

 22年度からウィズコロナでのビジネス展開を念頭に、大型投資を再開した。BCP対応や、技術力強化のための試験設備増強など動き始めている。