2023.01.11 【電子部品総合特集】日本ケミコン 上山典男社長 新製品開発を継続的に取り組む
上山 典男
22年度の受注はおおむね好調だった。分野別では、重点5市場(車載、産機、新エネルギー、生活家電、ICT)の中で、コンシューマー関連の生活家電と、ICTはあまり良くなかったが、産機と新エネルギー関係は好調に推移し、車載もそこそこの状況だった。円安も業績への追い風となった。
23年は非常に厳しい年になると思う。最近は先行受注の入りが鈍くなっている。今年度下期は先行受注の消化でそこそこの数字が期待できるが、23年は厳しくみている。
23年度からは第10次中計がスタートする。通常だと今頃の時期には、ある程度次期中計の骨格のようなものを作っているタイミングだが、市場環境が不透明であるため、もう少し23年の状況が見えてきた段階で、施策を考えながら数字を作ることになる。
次期中計の方向性としては、やはりわれわれにとって最も重要なのは新製品。先々に向けた新製品開発に今後も継続的に取り組む。新たに設立した新規事業推進室が中心となり、付加価値のある新商品を継続的に投入していきたい。
製造部門では、これまで設備稼働率の引き上げに徹底して取り組み、一人当たりの生産高を上げる活動に注力し、収益性も向上しているが、現在の日本は労働者不足で人員確保が難しくなってきている。特に若者は深夜勤務を嫌がる傾向も強い。このため、夜間の時間帯には人がほとんどいなくても問題なく稼働できるような体制を構築したい。そのためには意図しない設備停止を限りなくゼロにすることが重要。これを実現することで、将来的には国内工場での夜間の無人稼働も実現できると考えている。そして、その成果を海外工場にも横展開できるようにしたい。
生産性改善に関しては、スタッフ部門の生産性向上が課題。23年度は厳しい市況が予想されるため、再度、スタッフ部門の生産性向上のための変革に取り組んでいく。
現在売り上げが好調に伸びている製品には、ハイブリッドコンデンサーやコイル、リード形電気二重層キャパシターなどがある。これらは生産が受注に追いついていないため、生産ラインの転換などを進めながら増量していく。また、カーボンニュートラルへの対応として、既存工場への太陽光発電設備の設置を順次進めている。