2023.01.11 【電子部品総合特集】日本航空電子工業 小野原勉社長 既存領域拡大と新領域確立で成長
小野原 社長
世界的潮流であるカーボンニュートラルの流れによる車のEV化や、5Gサービス普及などにより、市場や技術の変革は大きく進展すると思う。世界経済全体は今後減速していくリスクがあり、23年は厳しい年になると考えているが、市場や技術の変化を捉えていきたい。
21年4月に5カ年の中期経営計画を発表した。「5Gで繋がる『環境にやさしいモビリティ・IoT社会』の実現に向けて、〝Technology to Inspire Innovation〟のスローガンのもと、つなぐ技術で価値を創造」が基本方針。23年度も基本戦略に基づき、しっかりと事業運営していく。
携帯機器、自動車、産機・インフラの注力3市場の変化を捉え、技術開発力やものづくり力、マーケティング力などの総合力で展開する。コネクター、UIS、航機の3事業で既存領域の拡大と新領域の確立により成長を目指す。サステナビリティー経営も重視する。また23年は当社の創業70周年。さらに先の10年を見据えて動き出す年にしたい。
5Gの進展で端末の高機能化が進み、コネクター需要は増加する。小型・高密度・低背などの技術要求に向けた技術開発が重要になる。
自動車はEV化やADAS、自動運転技術が進化してセンサー搭載率が上昇し、技術レベルが向上するため、それに向けた製品投入に努める。eAxle向けの試作も開始した。EV向けは大電流・高電圧部位への開発と量産体制構築を進める。EV充電プラグもグローバル展開する。
産機・インフラ向けは、通信は高速伝送用コネクターの技術開発を強化する。航機では航空機向けで培った技術を産業用ドローンに広く展開し、新たな市場創出につなげる。
新しい技術として一枚のフィルムセンサーで三つの操作方式(タッチ操作、非接触操作、感圧操作)に対応する次世代の静電UIを開発し、幅広い用途に提案している。
カーボンニュートラル対応では、事業活動におけるCO2排出量を17年度比で30年に55%削減する目標を公表した。23年は環境対応目標をさらに明確化していく年になると思う。電力会社からの再生エネルギー調達を強化しているが、これをグループ全体に広げる。内製設備の省エネ化設計も推進する。