2023.01.11 【電子部品総合特集】アルプスアルパイン 栗山年弘社長 「ITC101」へ積極的に取り組む

栗山 社長

 2020年に新型コロナが始まり、21年は半導体不足、22年は世界的な高インフレが進んだ。コロナ禍が続く中で新たな課題が毎年増えている印象だ。

 22年は、世界の自動車生産台数は21年並みにとどまり、電子部品世界生産額もドルベースで減少したが、そうした厳しい状況下でも、当社では今年度もそれなりに売り上げを伸ばすことができている。統合によるシナジーが、22年からようやく売り上げに寄与し始めてきた。

 サプライチェーン強化のため各種施策を進めている。一つは現地生産化。米国、欧州、中国など各地域での現地生産化を進め、地産地消を強化している。二つ目は安全在庫の確保。1年くらいかけて計画的に在庫水準引き上げを進めた。加えて取引条件の見直しにも着手している。

 今後も中長期目標の「ITC101」に向け積極的に取り組む。4、5年先を見据えたビジネス獲得は、計画プラスアルファのペースで進捗しているが、それ以上に営業利益率を中長期目標の10%に高めることを重視したい。

 今後のビジネス戦略は、車載は今後も他社とのシナジーを図りながらビジネス拡大を目指す。「デジタルキャビン」の取り組みもその一つ。期待しているはゲーム機を含むアミューズメント関連。今後のゲーム機はメタバース分野にも広がり、メタバース用コントローラーなどでハプティックデバイスやセンサーなどの需要増が期待できると思う。

 統合後のシナジーは、センサー・コミュニケーション事業やモジュール・システム事業で着実に発揮できている。これからの車は、EV化、自動運転化、コネクテッド化などが進化する中で、統合ECUによる制御を行うようになる。ソフトウエア技術やミリ波技術などを活用し、車の制御システムの付加価値を高められるよう取り組む。

 投資関連では開発体制充実への投資を重視する。今年4月に宮城県大崎市に「仙台開発センター(古川)」が竣工(しゅんこう)する。仙台の開発センターと合わせ、古川・仙台地区で約2000人の体制となる。今後も優秀な技術人材獲得に力を注ぐ。海外では、インドにソフトの開発拠点を整備したい。

 22年4月から職業能力開発の一環として「役割型」の評価制度を導入した。改善率、成長率を評価する。これにより高い目標にチャレンジできる社風に変えていく。