2023.01.11 【電子部品総合特集】タイコエレクトロニクス ジャパン 松井啓社長 EV市場、FA市場の成長期待

松井 社長

 2022年は材料の入手難や半導体不足の影響など多くのことがあったが、そうした中でも堅調な業績を達成した。TE Connectivityの22年9月期グローバル業績は売上高(報告ベース)が、前期比9%増の約163億ドルと過去最高を更新した。セグメント別でも①トランスポーテーション ソリューションズ②インダストリアル ソリューションズ③コミュニケーションズ ソリューションズがそれぞれ成長した。

 23年の市場はなかなか不透明な状況がある。ただわれわれとしては、ビジネスプログラムに沿ってしっかり種まきしている。電気自動車市場へのアプローチやFA市場への提案など、さまざまなプロモーションを実施している。

 今後の期待製品は、自動車関連では、さらなる電動化に伴い高電圧コネクターと充電用インレットが日本市場でも伸びてきている。インダストリアルは、FAや再生可能エネルギー市場の成長などに期待する。このほか航空宇宙関連へのアプローチを強化し、民間航空機分野でも採用が進んでいる。メディカルもコロナ禍からの需要回復を期待する。

 最近の業界では日本やASEANでのモノづくり強化の動きがあり、われわれにはポジティブ。日本国内で半導体を内製化する動きもあり、具体化していけば新たなビジネスチャンスが生まれる。

 成長に向けた重点分野は、①Eモビリティー②データコネクティビティー③FA④クラウドコンピューティング⑤再生可能エネルギーの5分野だ。

 当社はコロナ前からリモートワーク/スマートワークの活用による働きやすい職場環境づくりに取り組んできた。最近はリモートでのコミュニケーションもよりスムーズになっている。変化の激しい時代だが、当社はグローバル企業であるため変化への対応は速い。今後も市場変化に素早くアクションしていく。

 TEジャパンでは21年に新たに宇都宮営業所を開設し、宇都宮近郊の顧客とのコミュニケーション強化が図れ、効果が出ていると思う。タイ工場も展開し、掛川工場でも順次、効率化や省人化レベルを高める。

 23年の経営テーマは、サステナビリティーに重点を置く事業活動を推進し、Eモビリティー、データコネクティビティー、FA、クラウドコンピューティング、再生可能エネルギーにフォーカスした事業展開を図る。DXの一層の推進とともに、ダイバーシティー&インクルージョンマネジメントを進めたい。社内の横の連携を強化し、企業価値を高める経営を推進する。