2023.01.11 【電子部品総合特集】23年の電子部品市場 自動車の進化など新潮流で成長へ

 現代の社会は、歴史の大きな変換点を迎えているといわれる。コロナ禍を契機とした社会全体のデジタルシフトは、今後ますます加速し、あらゆる分野でのイノベーションを引き起こしていく。世界的な脱炭素/カーボンニュートラルの流れも、人々の価値観に変化を促し、経済活動や社会活動を大きく変革していく。また、日本社会では、少子高齢化による人口減少という、これまで経験してこなかった課題にも直面している。

 これらの動きは、電子部品市場にも大きな影響を与える。そして、電子部品産業には、これらの変化をビジネスチャンスとして捉え、中長期視点に立った社会課題解決へのソリューションを継続的に追求していくことが求められている。

 電子部品業界にとり、2022年は、前年からの新型コロナウイルス感染症の影響が残り、また、ロシアによるウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格上昇や欧米でのインフレ加速、為替の歴史的な円安進行など、さまざまな想定外の出来事に右往左往した一年だった。電子部品のグローバル需要は総じて堅調だったが、民生機器向けの需要が落ち込み、車載も半導体不足の影響などを受けた。

 23年は、コロナ禍の終息が期待される一方で、地政学リスクの高まり、さらに高インフレを背景とした欧米でのリセッション懸念も強まるなど、不透明さが増している。それでも、電子部品市場の中長期の成長期待には揺らぐところはない。CASEをメガトレンドとした自動車の進化や、情報通信技術の高度化、FAシステムや産業用ロボットの技術革新、さらにはメタバースといった新たな潮流は、電子部品技術の高度化を促し、電子部品需要を成長させていく。

脱炭素に向け重要な役割

 脱炭素/カーボンニュートラル社会の実現に向け、電子部品は重要な役割を担う。社会全体のスマート化が進展する中で、日本の電子部品産業には、イノベーションの担い手としての貢献が一層期待されている。