2023.01.10 【製造技術総合特集】日本精工 CMSを成長分野に事業拡大 英BKV社との協業本格化
下村 執行役員
日本精工(NSK)は、CMS(コンディショニング・モニタリング・システム=状態監視システム)を成長分野に掲げ、事業の拡大に取り組む。
CMSは機械設備の重要な要素部品である軸受、直動製品などの稼動状態をセンシングすることにより、機械設備の異常や故障を予知し、トラブルを未然に防ぐ。
同社が長年にわたり培ってきた振動診断技術を活用して、これまでに軸受、ボールねじ、リニアガイドの損傷や劣化の予兆を捉える故障診断・余寿命診断するアプリケーションソフトウエア「ACOUS NAVI」を製品化した。
同ソフトはセンサーで収集した多量の振動データを自動的に解析し、診断結果を出力するプロセスをソフト化し、誰でも使いやすい診断システムとして提供している。
M&Aにより2021年3月にグループ化した英BKV社との本格的な事業を23年3月からスタートする。BKV社はCMS装置・センサーの製造販売、状態監視サービスを主要事業とし、風力発電をはじめポンプ、タービンなどの回転機向けなど多様な産業に向けて欧州のほか世界各国に納入している。
下村祐二執行役員産業機械事業本部CMS本部長は「BKV社と一体となった本格的な事業化のために、社内も新組織で推進する。当社は創業100年超の歴史の中で軸受、ボールねじ、リニアガイドの損傷や劣化のメカニズムを基に、その予兆を捉える独自の振動診断技術を長年にわたって培ってきた。当社とBKV社の技術を融合し、次世代型予知保全システムを提供することで、生産現場が抱える問題や課題の解決に貢献したい」と力を込める。
目指すのは製品ライフサイクル全体でのサービス提供体制を強化するPLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)だ。製品を販売するだけでなく、その後の設備メンテナンスや補修、製品の廃棄まで、顧客のバリューチェーンとのつながりを深める。PLM戦略の一環で、米アライアンス社から軸受リコンディショニング事業を買収。顧客の使用済み軸受を手直しして再使用するサービスを開始している。