2023.01.13 【放送/機器総合特集】23年 年頭所感 放送サービス高度化推進協会 相子宏之理事長

相子 理事長

次世代スマートTVを検討
放送サービス高度化に貢献

 明けましておめでとうございます。放送サービス高度化推進協会(A-PAB)より新年のごあいさつを申し上げます。

 新型コロナウイルス感染拡大から3年、人々の生活も大きな影響を受ける中デジタル化はそのスピードを加速しメディア環境も大きく変化、さまざまな映像配信サービスなどが開始されました。最近では、世界的にコネクティッドTVが普及、サービスも多様化しユーザーの選択肢も大きく広がっています。

 ビデオリサーチ開催のVR FORUM 2022によると、関東地区視聴率調査世帯におけるコネクテッドTV(ネット利用可能テレビ)のネット結線率(世帯普及)は65%を超えたとのこと。6割以上の世帯のテレビが、ネット上に存在するあまたのコンテンツ・サービスの利用が可能となり、新たな広告ビジネスも開発される状況はメディア環境の観点からみると大きな転換期と思われ、各放送事業者さまがさまざまな取り組みをされている状況を再認識することとなりました。

 A-PABにおきましても、時代の変化に対応すべく、放送サービスの高度化や放送インフラの安定運用に関連する基幹的業務に加え、会員各社の意見を伺い、若者のテレビ離れ、次世代スマートテレビ、新4K8K衛星放送のさらなる普及などの中長期的な課題に積極的に取り組んでまいりました。

 まず、A-PAB内の基本課題検討部会の答申に基づき「次世代スマートテレビ検討会」を立ち上げ、複数のワーキンググループなどで検討を行っています。テレビの高機能化によって、テレビでのネット動画視聴も増える中、どういう受信機が必要なのかを放送事業者とメーカーが一緒になって考える場をA-PABに設置し、次世代スマートテレビに何らかの道筋をつけることがA-PABならではの役割であると考えております。

 昨年12月に放送開始4周年を迎えた新4K8K衛星放送につきましても、NHK、民放BS5社共同キャンペーンを実施、Inter BEEではZ世代向けの講演会などにより若者に向けた情報発信も行い、おかげさまで視聴可能機器台数もまもなく1500万台に到達いたします。一方、アンケートでは、視聴者の満足度は高いものの、さらなるチャンネル数・コンテンツの増加が望まれていることも分かりました。4K8K放送は、放送サービス高度化の点から重要な施策です。関係者の皆さまによるご努力、ご尽力に対して敬意を表しますとともに、総務省さま、電子情報技術産業協会さま、日本ケーブルテレビ連盟さま、家電販売店の皆さまほか、各方面の方々から多大なるご支援を頂きましたこと、改めて厚く御礼申し上げます。引き続き普及推進活動を行い、2024年パリオリンピック・パラリンピックのころには、2500万台を目指します。

 また、総務省さまより請け負っている地上テレビ放送高度化に向けた技術試験事務も4年目を迎えており、関係各方面のご協力を得ながら業務を遂行しております。A-PABとしましては、引き続き、関係各方面の皆さまと緊密に連携し、放送のメディア価値向上、放送サービス高度化のために貢献すべく、積極的にさまざまな取り組みを行ってまいりたいと考えておりますので、今後とも、ご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。最後に、今年こそコロナ禍が終息し、皆さまにとってより良い一年となることを祈念いたします。