2023.01.16 【電子材料特集】カーボンニュートラルの取り組み本格化 各社、中長期で重要テーマに

 電子材料メーカー各社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを本格化させている。長期ビジョンの中で、カーボンニュートラル達成を事業戦略における重要テーマに位置付け、中長期の環境ロードマップを公表する企業が相次いでいる。最近は、中長期計画で定めたGHG(温室効果ガス)排出量削減目標の達成時期の前倒しを発表する企業などもみられている。

 電子材料企業の環境への取り組みは、製品開発、製造戦略、調達戦略、市場戦略などさまざまな視点で進められる。中でも重要なテーマである「エネルギー革新」では、購入電力の再生可能エネルギーへの転換や自家消費型の太陽光発電設備の導入などの「エネルギー調達革新」や、老朽化設備更新を通じた「エネルギー消費革新」に力が注がれており、これらを通じて事業活動におけるCO2排出量削減が追求されている。

 最近は、購入電力の100%を再生可能エネルギーに転換している事業所も徐々に増加。20年代までに国内全事業所で購入電力の100%再生可能エネルギー化を目標に掲げる企業もみられる。また将来に向けた取り組みとして、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入する企業も増加している。

 主要電子材料メーカーのカーボンニュートラルマスタープランでは、「Scope1」(自社の製造に伴うCO₂の直接排出)、「Scope2」(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)に加え、「Scope3」(Scope1/2以外の間接排出)も含めた計画を公表しているケースが多い。

 Scope3の目標達成に向け、資源循環への取り組みが進められ、樹脂原料の非化石由来への転換、再生材料の使用拡大などが推進されている。

 アプリケーション戦略では、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー機器や蓄電池システム、xEⅤ等の市場が重視され、これらのGX関連の売上比率向上を通じた気候変動対策への貢献が志向される。

 製品開発面では、デバイスの軽薄短小化に寄与する高性能材料による省資源化や、省エネ性能に優れた素材による完成品の高効率化への貢献などに力が注がれる。