2023.01.18 【情報通信総合特集】三菱電機 三谷英一郎常務執行役
〈インフォメーションシステム事業推進本部長〉
ICTでカーボンニュートラル実現
2022年のICT市場は、お客さまの投資も再開され、徐々に回復傾向にあるものの、半導体の調達難などにより、需要に十分に応えられなかった。一方、製造業でもDX化が進み、OT(オペレーショナルテクノロジー)の分野でも、セキュリティー対策の重要性が高まった。また、カーボンニュートラル実現に向けて、ICTの役割が注目されてきた。
こうした中、当社のIT部門の22年度の業績は、IT関連会社含め増収増益で堅調に推移している。当社は「循環型デジタル・エンジニアリング企業」へ変革し、多様化する社会課題の解決に貢献していくことを経営方針として打ち出している。当本部(IS本)も、サステナブルな社会実現に向けての取り組みを本格的に開始した。
カーボンニュートラルの実現には、CO₂の排出量や製造プロセスの見える化などデータの活用が重要になる。ICTが貢献できる領域が大きい。
カーボンニュートラルや当社が強みを持つOTセキュリティーでは、FAを始めとする各本部との連携を強化、ノウハウを掛け合わせ、新規事業につなげていく。
ITグループ各社も業績を堅調に伸ばしている。MDIS(三菱電機インフォメーションシステムズ)は、主力の金融業、製造業のDX化ニーズに応え、クラウドサービスを進展させている。MIND(三菱電機インフォメーションネットワーク)は、昨年末からサイバー攻撃の動向やインシデント発生時の対処能力を強化したサイバーフュージョンセンターを本格稼働させた。MDSOL(三菱電機ITソリューションズ)は、従来のパッケージビジネス主体からクラウドサービス型へ大きく販売形態を変革している。
23年のICTの市場環境も当面、部材などの調達難は続くものの、デジタル化が加速する。循環型デジタル・エンジニアリング企業に向け、ICT部門の役割は、ますます重要になる。各事業との連携を密にし、カーボンニュートラル、OTセキュリティー、さらにデータの利活用領域を強化していく。