2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】三社電機製作所 頭本博司取締役
頭本 取締役
海外を視野に新拠点の設立も準備
三社電機製作所は、電源機器を支えるパワー半導体を核に、半導体事業を拡大している。
頭本博司取締役常務執行役員半導体事業統括兼半導体製造本部長は「高電圧や大電流の直流・交流の電力変換や制御など、さまざまな電源装置に使用されるパワー半導体を開発、製造している。高耐圧と高信頼性を両立するメサ型チップのラインアップをそろえ、独自の樹脂モールドパッケージは長期信頼性が求められる産業用の分野で高い評価をいただいている。また、産業用電源機器のメーカーとして、多種多様な電源製品に最適なパワー半導体を提案、提供できるのも当社の強みだ。2021~23年度中期経営計画CG23でもメサ型の高耐圧品に加え、CO₂排出量削減に貢献できる低リーク電流、低損失、低環境負荷の製品や、大電流、高電圧用途での省エネ化を実現できるSiCパワーモジュールを拡販している」と説明する。
23年度に半導体事業で安定して80億円を売り上げる体制構築を目指す。
CG23での全社3カ年累計設備投資30億円を主に岡山工場のパワー半導体前工程、後工程の生産能力増強、自動化に充て、生産能力をこの一年で1.2倍に拡大した。
6インチラインの24年度稼働を含め、25年度にパワー半導体の前工程、後工程の生産能力を20年度比1・4倍の計画に向けて準備を進めている。
22年度上期もパワーモジュールが汎用(はんよう)インバーター、溶接機など産業用の需要拡大やチップ販売が増え、半導体事業は売り上げ約41億円(パワーモジュール29億円、ディスクリート、チップほか12億円)と順調に伸ばした。
22年度通期でも23年度目標80億円近くの78億円(同40億円、同38億円)の売り上げを見込む。
頭本取締役は「25年度にパワーモジュールで60億円、ディスクリートほかで40億円の100億円の大台に乗せていくためには、海外も視野に入れた新拠点も含めてしっかり準備していく」と話す。
22年11月に資本業務提携を締結した三菱重工業と今後、成長領域に貢献できる小型、高信頼性の新製品開発を進める予定だ。