2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】〝ラピダス〟が始動 2ナノ以下を日本で実現へ
東会長、小池社長が登壇して行われたセミコンジャパンのオープニングパネル
次世代半導体の開発・生産の核になる新会社・ラピダス(東京都千代田区)が始動した。
同社はキオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の8社が出資し、2022年8月に設立された。
政府も700億円の支援を行う半導体復活のメインプロジェクトの一つだ。
会長には東京エレクトロン元社長・会長の東哲郎氏、社長には元ウエスタンデジタルジャパンプレジデントの小池淳義氏が就いた。
具体的な事業として戦略的日米欧連携による次世代半導体開発や、20年代後半には次世代の3次元LSI、ナノ技術を日米欧連携で確立するとともに、国内外の素材産業や装置産業との協力体制を構築する。国内での内製化を図り、2ナノメートル以下の最先端LSIファウンドリーを日本で実現する。
ラピダスの動きが加速してきた。昨年12月、IBMとロジック・スケーリング技術の発展に向けた共同開発パートナーシップを締結。その一環として、IBMの画期的な2ナノメートルノード技術の開発を推進し、ラピダスの日本国内の製造拠点に導入する。
ラピダスの研究者と技術者は、世界最先端の半導体研究拠点の一つ、ニューヨーク州アルバニーのAlbany NanoTech Complexで、IBM、日本IBMの研究者と協働する。
また同月、ベルギーの半導体国際研究機関であるimecとの連携を発表した。
imecはリソグラフィー技術や太陽電池技術、有機エレクトロニクス技術など次世代エレクトロニクス技術の開発で世界をけん引している。imecとラピダスは、EUV露光技術をはじめとした重要な要素技術などに関する共同プロジェクトを実施するほか、共同プログラムに参加するための技術者を派遣する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(委託)」において、ラピダスは「日米連携に基づく2nm世代半導体の集積化技術と短TAT製造技術の研究開発」を提案し採択された。
昨年12月に開催された「セミコンジャパン2022」(主催SEMIジャパン)の開幕日のオープニングセレモニーに岸田文雄首相が登壇し、「政府はTSMCを熊本に誘致し、次世代半導体製造を目的に設立された新会社ラピダスを支援する」と、日本の半導体産業復活に向けた期待と政府の取り組みを表明した。
オープニングキーノートパネルにはラピダスの東会長、小池社長が甘利明衆議院議員らと登場。その中で東会長が「いかにしたらある特定領域で世界一を狙えるのかを考えた。日の丸連合では勝てない。世界の技術を結集する観点が一番重要」と述べたほか、小池社長は「最初の5年間は、10~20年の遅れを取り戻すために日米の連携という形でまず徹底的に勉強から始める。その後5年間で事業展開する」と新会社の方向を示した。