2023.02.02 【二次電池技術特集】マクセルとロームが全固体電池の評価用電源モジュールキット共同開発 モニタリング、計測機器への採用など 民生から産業用まで幅広い用途想定
マクセルとロームが共同開発した全固体電池向けの評価用電源モジュールキット
マクセルは、2023年度に量産を開始する硫化物系固体電解質を使用した高耐熱・長寿命・高い安全性のセラミックパッケージ型全固体電池「PSB401010H」とロームの超低消費電流技術「Nano Energy」搭載の昇圧DC-DCコンバーターICを使用した低消費電流の評価用電源モジュールキットを共同開発した。
同電源モジュールキットにより、全固体電池バッテリーマネジメントソリューションがより容易に検討可能になる。用途は、モニタリング、各種計測機器への採用検討など、民生分野から産業分野まで幅広い用途を想定している。
同電源モジュールキットは、同社がロームと共同開発した充電制御IC、超低消費電流技術Nano Energyを搭載した新開発の昇圧DC-DCコンバーターIC、リセットIC(オプション)と全固体電池PSB401010Hを組み合わせたもの。
同電源モジュールキットは、今年1月25日から27日まで東京ビッグサイトで開催された「ネプコンジャパン2023」のマクセルブースで、コンセプト展示された。
マクセルの全固体電池は、表面処理・混合・分散・塗布・成形・封止などの同社独自技術により、全固体電池の高容量化と高出力化を両立している。全固体電池特有の長寿命と耐熱性も組み合わせ、従来のリチウムイオン電池では対応が困難だった用途にも適合する。
同社では、外装の種類別に、「コイン形」「セラミックパッケージ型」の二つのタイプをラインアップしており、用途に応じた提案が可能。
同社の小型全固体電池は、硫化物系固体電解質の中でも特に安定性とイオン伝導性、および成形性に優れたアルジロダイト型固体電解質を採用することで、高耐熱と長寿命を実現した。これにより、充放電の繰り返しや長期保管に伴う抵抗上昇を抑制し、従来の電解液系電池に比べて高負荷時の放電容量を向上することに成功した。
同社は、アナログコア技術である「混合分散(まぜる)」、「高精度成形(かためる)」技術に加え、長年にわたり培ってきたリチウムイオン電池とマイクロ電池の開発および製造に関するノウハウを融合することで、高性能かつ高信頼性を有するコイン形全固体電池を実現した。また、外装にセラミックパッケージを採用することで、コイン形全固体電池の容量や出力特性を維持したまま、さらなる耐熱性と高密閉性を実現している。さらに、高電圧・高入出力という新たな特長を持つバイポーラ型全固体電池についても開発に成功した。
同社の小型全固体電池の特徴は、幅広い温度範囲に対応(コイン型はマイナス50度からプラス125度で放電可能、バイポーラ型はマイナス60度からプラス125度で放電可能、セラミックパッケージ使用時はリフロー実装にも対応)。液漏れがないため、過酷環境下でも使用が可能。20年にわたる長期間の使用が可能。イオン伝導度の高い硫化物系固体電解質の採用により、高レートでの放電ができる。バイポーラ型は5Vでの出力が可能となる。