2023.02.08 【コネクター総合特集】自動車用コネクター 車載カメラ向けの技術開発進む

自動運転対応25ギガbps高速フローティング基板対基板コネクター

 コネクターメーカー各社は、自動車市場を中長期の事業拡大のための最重点市場の一つに位置付けている。各社は、「CASE」などのメガトレンドを背景とした自動車の進化に照準を合わせ、高速伝送・高周波対応や小型・高信頼性、高耐熱、大電流・高耐圧対応などの新製品開発を強化している。

 ADAS/自動運転を支えるセンシングデバイスである車載カメラは、車1台当たりの搭載数量増とともに、製品の高性能化が進んでいる。最近の車載カメラは、従来の標準だった30万画素(VGA)から、100万画素クラスへの切り替えが進みつつあり、高速デジタルセンシングカメラへの進化が加速している。

 コネクター各社は、車載カメラの技術トレンドに対応し、車載カメラモジュール接続用コネクターや、カメラECU用コネクターなどの技術開発を強化。高画質車載カメラで要求される3ギガbpsなどの高速伝送性能を実現しつつ小型・高性能で防水性にも優れた製品開発に力を注ぐ。

 自動運転車向けセンシングカメラは、将来的には3メガピクセル、10ギガbpsなどへの進化が予想され、これらに向け、POF(プラスチック光ファイバー)コネクターの製品化も視野に入れられている。

 自動走行レベル3以上の自動運転車で必須のLiDAR(ライダー)についても、多数個使用のための小型化追求が要求され、対応コネクターの小型化も求められる。ミリ波レーダー用コネクターも、一層の小型化と防水性向上が求められている。

 今後、搭載本格化が見込まれる車載イーサネットコネクターへの参入企業も増加している。車載イーサネット用は、通常のイーサネット用と比較して極めて高い信頼性が要求されている。

 今後の自動車開発では、安全性向上に向け、車1台当たりのエアバッグ搭載数量増も見込まれ、グローバル規格に対応したエアバッグ用コネクター開発なども進展している。

 EV/PHV等の電動車用では、車載インバーターやモーター、バッテリーまわりに使用される大電流/高耐圧対応製品の開発が活発。定格電圧850V対応品などが開発されている。

 エンジンルーム周辺などのアプリケーションでは、125/150度対応などの高耐熱FPCコネクター開発も活発。走行時の厳しい振動環境に対応するため、車載用フローティングコネクター開発も活発化している。

 EVやPHVの本格普及には、1充電当たりの走行距離向上が重要な鍵を握る。このため、EV用コネクター/ハーネスでは、通常のガソリン車以上に軽量化ニーズが強く、小型・軽量タイプの車載ECU用コネクターなどの開発が進展している。ワイヤハーネスからアルミハーネスへの代替や、FPC/FFC配線への切り替えを通じた車体軽量化への取り組みも進む。