2023.02.08 【コネクター総合特集】次世代DC市場向け高速伝送対応ソリューションの技術開発が活発化
112ギガbps PAM4対応高速伝送接続ソリューション
112ギガbps伝送対応が急ピッチ
エンプラ領域の課題解決めざす
コネクターメーカー各社の高速伝送対応コネクティビティーソリューションの技術開発が活発化している。各社は、データ容量増大に伴う次世代データセンター(DC)やサーバーなどでの高速伝送要求に対応するため、高周波・高速伝送対応コネクターやケーブルアセンブリーの技術開発・提案に力を注いでいる。
第5世代移動通信規格5Gの普及やビッグデータ、人工知能(AI)、IoTなど、クラウドデータ量の増大に伴い、これらのデータをより早く、安定した通信を行うことが求められている。
このため、DCでは現在、伝送速度の主力が56ギガbpsに移行しているが、次世代の112ギガbps伝送への高速化に向けた技術開発も急ピッチで進んでおり、徐々に実用化が進む見通し。さらに、次々世代の224ギガbpsについても、数年度には実用化が予想されており、DC機器の224ギガbps伝送への高速化、高密度化を実現するためのソリューションも提案されている。
DCでは、情報システム機器を運用するために必要な物理的スペースと電源や空調設備などが重要なため、運用にかかる負担を軽減することも課題となる。
また、DCでは電力も大量に消費するため、DCの増加に伴う電力消費量増大を抑制するための技術も求められている。
コネクターメーカー各社は、こうしたニーズに対応するため、DCやサーバー、通信基地局などの大容量・高速伝送化に対応するための112ギガbps PAM4対応の高速伝送対応ソリューションの開発を強化している。
各社は、高周波・高速伝送対応コネクターやEMC対策に優れるフルシールド製品などのソリューションの提供により、エンタープライズ領域での課題解決を目指す。
次世代DC向けの高速伝送対応ソリューションは、TE Connectivityやアンフェノール、モレックス、サムテックなどの欧米系コネクターメーカーをはじめ、日本企業でも、山一電機やI-PEXなどが開発を強化しており、先進的なソリューションが提案されている。
112ギガbps PAM4対応コネクターの開発では、DCにおける高速化、高密度化のボトルネックとなっていたASICと光トランシーバーI/Oの距離を短縮することで伝送損失を低減し、DCの高速化と高密度を実現する新構造の開発や、システムの冷却性能の向上によってDCの低消費電力化が図れる独自のエア取り込み構造などが提案されている。
また、次世代高速伝送ニーズに対応し、よりプロセッサーに近い基板上で光電変換を行うことで、基板上の電気配線距離を短くし、伝送損失を大幅に低減する超小型アクティブ光モジュールなども開発されている。
最近は、民生機器市場向けで培ってきた小型精密コネクター技術を活用し、エンタープライズ市場向け高速伝送ソリューションの本格参入を目指すコネクターメーカーなども増加している。