2023.02.10 高湿度下の水素流量・濃度を同時計測 パナソニックが業界初の「超音波式水素流量濃度計」
「超音波式水素流量濃度計」の受注開始(EW社スマートエネルギーシステム事業部スマートメータデバイス技術部 三好係長)
パナソニック エレクトリックワークス(EW)社は、来るべき水素社会の到来を見据え、純水素型燃料電池やエネファームの開発に取り組む一方、燃料電池(FC)研究開発の効率化、コストダウンに貢献する技術でも業界をリードする。
同社は10日、業界で初めて、高湿度下の水素流量・濃度を同時計測できる「超音波式水素流量濃度計」を開発し、FCの評価を行うFCメーカーやFCスタックメーカーなどの研究開発部門に向け、10日から受注開始した。
同社は30年間に及ぶガスメーター向けデバイス開発で培った超音波計測技術を活用し、高湿度下の水素流量・濃度を同時計測できる技術開発を進め、2020年に開発発表を行い、国内外約60社から引き合いをもらうなど反響があった。
今回、より計測する水素の大流量化、高精度化、温度適用範囲を広げた実用製品を開発、国内向けから受注を開始する。
受注をはじめたモデルは、高湿度下の水素流量と濃度をリアルタイムに同時計測ができるほか、温度・湿度・圧力の常時モニタリング機能を搭載。
また低流量領域から高流量域まで高精度な計測の実現(0~2000リットル/分・ノルマル流量)、摂氏マイナス30度~85度まで0~100vol%(体積濃度)と、広範囲の水素流量・濃度計測ができる。
燃料電池は供給する水素を一度に全て反応させることが難しく、 未反応の水素は循環させて再利用するため、循環部の水素は高温・高湿状態になるという。
従来は高湿度下で流量と濃度を同時計測ができず、水素の状態把握が難しいため、最適な発電制御が困難な状況だった。「(水素の)実動作状態の見える化により、燃料電池システム開発に貢献できる。水素計測を通じて、脱炭素社会実現を目指したい」(EW社スマートエネルギーシステム事業部 三好麻子係長)と話す。