2023.02.17 デジタル庁、「COCOA」で総括報告書を公表 平時から開発・運用体制整備を

 デジタル庁は17日、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性がある場合に通知するスマートフォン向けアプリ「COCOA(ココア)」の展開について総括した報告書を公表した。「開発・保守運用などの体制整備が十分になされなかったことが、後のアプリ不具合の一因」と指摘した上で、平時から方針の変更や要望に対応できる開発・運用体制を整えるとともに、デジタルツールを活用して利用者の信頼を醸成すべきと提言した。

 ココアは、社会全体で感染リスクを低下させることを目的に、2020年6月に運用を開始。ダウンロード数は、累計で4100万件超に達した。ただ、接触が通知されないなどの不具合も多く、政府が感染者の全数把握見直しを受けてココアの機能停止を決めた。

 報告書では、経緯や実績をまとめた上で、関係者へのヒアリングや利用者向けアンケートの結果も紹介。ヒアリングでは、「早期の開発で社会的な不安を和らげた」「個人への注意喚起としては一定の効果があった」などと好意的に評価する声が集まる一方、国の能力や通知後を含む全体の運用などを指摘する意見も集まった。

 報告書では整理した課題を踏まえ、留意すべき事項を明示。今後のパンデミック(感染症の世界的大流行)に備えて新たなデジタル技術によるツールを検討する際には、検討の初期段階から技術や感染症対策の専門家、実務担当者が密にコミュニケーションをとる対応などを求めた。

 さらに政府全体で人材を融通するなど、平時から体制を整える必要性も強調。ココアを含めてコロナ禍に導入されたシステムでも機能が有効と考えられるものについては、「日常で利用できるツール」として改善を重ねて運用し、緊急時にも活用できるようにすることが望ましいと指摘した。

 河野太郎デジタル相は同日の閣議後会見で、「行動変容を促したというところでは一定の効果はあった」とした上で、「次に備えてシステムをしっかり整えておくと同時に、こういうケースならこういう使い方をするということを決めておかなければいけない」と強調。ココアで学んだ教訓を生かす考えを示した。