2023.03.01 【防災・備災/減災特集】日本ゼオン CNTシート技術活用 新規アプリ向け技術開発強化

CNTシート

 日本ゼオンは、単層カーボンナノチューブ(CNT)をいち早く実用化し、CNT応用展開として、ゴムや樹脂との複合材料開発で実績を上げるとともに、CNTシート技術を活用した新規アプリケーション向けの技術開発を強化している。

 同社は、2月に開催された「nano tech 2023 第22回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(nano tech実行委員会主催)に出展した。

 単層カーボンナノチューブ「ZEONANO」の紹介をはじめ、CNTの熱電変換素子の応用事例として、工場などの熱配管不具合検知や地震発生時の建築物破損状況を瞬時にセンシングして無線で知らせるシステムの開発事例を紹介。熱電変換素子によって、電源レスでセンシングできる。これらが評価され、最高位の「nano tech大賞2023」を受賞した。

 CNTは、比表面積が大きい、長尺、高純度などの特性から、エネルギー分野やエレクトロニクス分野など幅広い分野への展開が期待されている。同社は2006年から、CNT合成技術の事業化の検討を開始し、15年から「スーパーグロース法」による単層CNTの商業生産を開始した。

 スーパーグロース法は、産業技術総合研究所の畠賢治博士らによって見いだされた単層CNTの効率的な合成法で、生産性は従来の1000倍以上に向上し、高品位でありながら製造コストの大幅な削減を実現する。同社は産総研と共同で、スーパーグロース法をさらに発展させた量産技術を開発した。

 同社の単層CNT ZEONANOは高アスペクト比、高純度、高比表面積などの特性を有し、ゴムや樹脂と複合化した製品が帯電防止などの用途で採用が拡大している。

 加えて、CNTシート技術を活用した新規事業創出に向けた技術開発を強化しており、同社は次世代電池や不揮発性メモリー(DRAM代替)、ペロブスカイト太陽電池、テラヘルツ素子、熱電変換素子などのアプリケーションへの展開を目指す。