2023.03.10 【中部産業特集】日本ガイシ エナセラ使用のトラッカーで青果市場物流実証 荷物などの動き見える化

屋内外位置トラッカー

青果棟内部青果棟内部

屋内外位置トラッカーの動作イメージ屋内外位置トラッカーの動作イメージ

 日本ガイシは、リチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」を使用した物流実証プロジェクトを、2月6日から名古屋市中央卸売市場本場で実施している。

 本実証は、効率の良い新たな場内物流モデルの構築を目指すもので、EnerCeraが搭載された屋内外位置トラッカーで荷物や作業者の動きを把握し、見える化する。実際の作業現場でEnerCera搭載のトラッカーを複数個使用して実証を行うのは、今回が初めて。

 この実証プロジェクトは、名古屋市が提示する行政課題に対して、先進技術を活用した解決策を持つ企業などを選定し、社会実証を支援する「Hatch Technology Nagoya」の令和4年度課題提示型支援事業に採択されたもの。

 実証事業者は佐川急便で、屋内外位置トラッカーにより、青果棟内の荷動きを計測・分析する。

 最近のドライバー不足による物流の2024年問題などを背景に、効率的な流通のための物流ルールの統合を目指す「青果物流通の標準化」が全国的に進められている中、中央卸売市場本場の青果棟周辺では、トラックの待機場所の不足、荷下ろし・荷積み場所の不足が長年の懸案となっている。

 実証プロジェクトでは、青果棟内のフォークリフトや作業者、荷物の運搬時に使用するパレットに屋内外位置トラッカーを装着し、場内でのそれぞれの動線を定量的なデータとして記録する。

 従来、把握できていなかった人・モノの動線や敷地の使い方の可視化により、場内オペレーション向上によるスペースの効率的な利用や事故防止など、課題解決につながる新たな場内物流モデルの構築に向けた検証に寄与する。3月の実証プロジェクトの成果発表会で実証結果が発表される予定。

 屋内外位置トラッカーは、室内灯や太陽光などの光をエネルギーとして電力に変えて利用する太陽電池により、電池交換や充電作業を行わず屋内外でメンテナンスフリーに動作させることができる。

 高精度な位置情報を取得できるほか、温湿度や加速度も記録することができ、これらのデータをクラウドなどに送ることで、精密で円滑なデータ解析を可能にする。

 トラッカーに搭載されるEnerCeraは、環境発電による微小電力を高効率で充電でき、超薄型・小型でありながらデバイスを駆動させるのに十分な大容量の電力を利用することができるため、小型IoTデバイスの電源として、ウエアラブルデバイスや物流向けトラッカーに使用できる。

 日本ガイシは、本実証プロジェクトで得られる知見やノウハウをもとに、今後はオフィス人員の行動や作業環境把握、店舗や工場、特定の場所などの人流解析といった位置情報を活用したソリューションビジネスの検討を進める。

 EnerCeraの超薄型・小型で高容量、高出力、高耐熱、長寿命などの特性を生かし、さまざまなパートナーと協業しながら幅広い分野で用途開拓を進め、IoT社会の実現に貢献する。