2023.03.14 音楽やダンスを世界中で同時セッション スタートアップがVRと高速通信使った実証実験

VR技術を使った東京、北海道、タイを結んだセッションの様子

 VR(仮想現実)環境の構築などを手掛けるナリッジサービスネットワーク(KSN、東京都大田区)が、高速通信を利用し、音楽やダンスのライブセッションを世界中で同時に行う「グローバルステージシステム」の実証実験を行った。それぞれが遠く離れた場所にいながらリアルタイムでセッションするという、高速通信時代の新たなライブ配信の実現を目指した野心的な取り組みだ。

 12日、東京都内にあるバルコのXRスタジオで、3人の演者が立つステージ中央を囲む壁2面に、北海道稚内市とタイ・チェンマイがネット経由でつながり、映し出されていた。東京、北海道、タイで同時にライブセッションしようとしているのは、民謡歌手の伊藤多喜雄さんがソーラン節をアレンジした「南中ソーラン」だ。

 三味線や太鼓の演奏に合わせて伊藤さんが歌い始めると、東京から発信される音源に合わせて、北海道とタイの演者がソーラン節を踊り出した。遠隔3拠点による同時セッションが始まった。

 こうしたシステムが現実味を帯びるのは、高速通信網が整備されつつあるからだ。特に期待されるのが5G。現状、今回のようなセッションを5Gで行うには、実効速度やインフラ整備を含めて課題は残る。ただ、5Gがうたう最大10ギガbpsの高速通信が可能になると、スマートフォンを使い、手軽に、どこからでも、遅延なくライブセッションできるようになる可能性がある。

(17日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)