2023.03.28 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】 変革を遂げる中国の日系電子部品工場 上海意力速電子工業有限公司 イリソ電子工業

上海工場の外観

姚 総経理姚 総経理

パワートレイン系を主力に拡大へ

 イリソ電子工業の上海工場「上海意力速電子工業有限公司」は、車載用コネクターを中心とする製造拠点として、徹底した高品質を追求している。

 同工場はフローティングBtoBコネクターなどの比較的難易度の高い製品を生産し、2021年には組み立てフロアのオールクリーンルーム化を図った。日本と同等の品質・納期の達成で顧客ニーズに応えている。

 姚海平総経理は「地産地消の方針のもとで22年は中国市場向けに供給する製品の比率が約5割まで上昇した。分野別ではEVバッテリーパック用コネクターの生産が大きく増加した。これらが貢献し、22年はロックダウンによる操業停止がありながらも売り上げを伸長できた」と話す。

 同工場は自動化による生産性改善を強力に進めており、計64台のロボットや計4台のAGVを稼働。製造工程のほか、検査や梱包部門でもロボットを導入し、省人化を図っている。従業員数は約630人。22年のロックダウンの際も周辺の他社工場に先駆け、いち早く稼働を回復した。

 23年度売り上げは前期比約18%増を計画する。パワートレイン系を主力に、新製品の高速伝送対応0.5ミリピッチ電源付きBtoBコネクターなども拡大させる計画。23年度の展開について姚総経理は、「今後も人を増やすことなく売り上げを拡大できるよう、効率アップを追求する。当工場は今年30周年を迎えるため、次世代の人材に円滑に世代交代していくための組織づくりも考えていく」と話す。

 上海工場はメイン工場の松江工場と分工場の天馬工場で構成。松江工場はコネクター組み立てと成型、天馬工場はピン製造なども行う。20年には上海R&Dセンターも上海工場の隣接地に移転させた。中国ではこのほか、南通工場(南通市)も展開している。「最近は上海工場のスペース不足をカバーするため、既存のFPCコネクターを南通にシフトし、空いたスペースを活用して高難易度製品の生産を増やしている。今後もこうした取り組みを進める」(姚総経理)。