フィルムコンデンサーのEV、HEV向け需要に対応

　ニチコンは尼吉康電子（宿遷）有限公司（江蘇省宿遷市）で、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーとxEV向けインバーター平滑用フィルムコンデンサーを生産している。

　同フィルムコンデンサーは、世界的なEV、HEV市場の拡大に対応し、2020年4月に巻き取り、組み立てから開始した。同年12月には蒸着から巻き取り、組み立てまで一貫生産する専用棟を敷地内に竣工（しゅんこう）。21年度上期から本格稼動させ、宿遷工場で月産10万台体制を確立、今秋のフル生産を見込む。

　月産20万台体制に向けた第3期投資の同コンデンサー専用第2生産棟の建設も、市況をみて実行する計画だ。

　南出智嗣董事長兼総経理は「中国などの旺盛なEV、HEVのフィルムコンデンサーの当面の需要に対応できる供給体制を整えた。今年2月にはフィルムコンデンサーの設計者を日本から赴任させ、現地設計開発体制も敷いた。現場ワーカーもマザー工場の草津工場で1回8人ずつ、計3回24人を研修させ、モノづくり力を高めている」と話す。

　中国向けに加え、欧米向けの新規受注引き合いが増加。宿遷工場のフィルムコンデンサー年産数量は、22年度で21年度比8.45倍、23年度には同29倍に急拡大する見通しだ。

　導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーは同工場の祖業。蘇州から宿遷へ13年前に工場を全面移転した。月産1億2000万個体制でPC・ノートPCマザーボード、ゲーム機、eスポーツ端末、充電器、ACアダプター向け需要に応える。

　南出董事長は「現在従業員は750人。フィルムコンデンサーの第2専用生産棟が竣工すれば1000人規模になる。生産実績の見える化や工程間の省人化、自動化、太陽光発電などを進め、工場全体で年間5～10％の生産性向上を図る。同時に、あらゆる面において最上級のトップノッチ経営を目指し、モノづくりからコトづくり、製造業から創造業へと軸足を移していく」と意気込む。