2023.03.28 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】拡大する中国EV市場 23年のNEV販売、23%増予想 関連企業へアプローチ強化

 中国の電気自動車(EV)市場の好調な拡大が続いている。中国自動車工業協会(CAAM)によると、2022年の中国でのBEV(バッテリーEV)を含む新エネルギー車(NEV)の販売台数は前年比93.4%増の688万7000台と大幅に増加した。23年についても2割以上の増加を予想している。

 中国は、15年に世界最大のEV市場となり、その後も順調な拡大が続いている。20年以降のコロナ禍の状況下でも、中国国内でのNEV販売台数は20年、21年と好調に増加し、特に21年は前年の約2.6倍の352万1000台へと大幅に増加した。

 ゼロコロナ政策が12月まで続いた22年も、政府による補助金の効果もあり、前年比で2倍近い大幅な伸びを達成した。

 22年のNEV販売のうち、BEVは536万5000台(前年比81.6%増)となっている。

 また、中国の22年のトータルの自動車販売台数は前年比2.1%増の2686万4000台となり、微増ながら2年連続で増加した。新型コロナウイルスの感染拡大や半導体の供給不足、原材料価格高止まりなどのマイナス影響を受けながらも成長を確保した。

 内訳は、乗用車が前年比9.5%増の2356万3000台、商用車が同31.2%減の330万台となっている。自動車販売台数全体に占めるNEVの比率は25.6%に達した。

 23年の中国の自動車販売台数見通しは、乗用車販売全体では前年比横ばいの2350万台を予想しているが、NEVは前年比23.4%増の850万台と、引き続き高い成長を予想している。

 中国政府は、環境対応車重視の姿勢を強く打ち出している。35年には、中国国内での新車販売の全てをNEV(BEV/PHV/FCV)およびHEVに切り替え、ガソリン車を排除していく方針を表明している。

 このため、EVやPHV、FCVなどに関し、生産事業者や購入時への補助金支給、および優先的なナンバープレート発給といったさまざまな措置を講じている。

 中国は国策として、化石燃料から電力ベースのエネルギーシフトを強力に進めており、今後もEVの需要は中長期で増加していくことが確実視されている。

300社前後が展開

 メーカー別では、最大手のBYDをはじめ、上汽通用五菱汽車(ウーリン)など多くの企業がEVを展開しており、一部の企業では日本市場への参入も図っている。このほか、Nio(ニーオ)などの有力な新興EVメーカーも続々と台頭しており、電気バスの専門メーカーなども多い。中国全体では現在、300社前後のEVメーカーが事業を展開しているとも指摘されている。

 これらの動きを踏まえ、日系電子部品メーカー各社は、中国の新エネルギー車市場の成長に照準を合わせた取り組みを強化している。中国ローカルのEV商用車メーカーや、有力なローカルTier1、EV用バッテリーメーカーなどへのアプローチ強化を図ることで、中国での車載ビジネスの拡大を目指している。

 通常、日米欧などの自動車市場では、電子部品の採用まで長い時間を要し、新モデル車への採用が決まってから実際の量産供給が始まるまで最低3~4年は必要とされる。日系電子部品各社は、これらの市場に対し、現在は27年以降のモデルイヤー車に向けたスペックイン活動に注力している。

 これに対し、中国系EVメーカーなどでは、新車の開発期間が極めて短く、搭載する電子部品の選定も1~2年ほどで決着するケースも少なくない。

スピードを重視

 これらを踏まえ、日系電子部品各社は、中国系の車両メーカーや有力Tier1に対し、よりスピードを重視した取り組みに力を注いでいる。各社は現地での情報収集活動を強化し、顧客に近い場所で開発・技術サポートを行える体制を充実させることで、現地での新規ビジネス創出を推進する。