2020.02.04 【コネクタ総合特集】コネクタメーカー各社、中長期成長へ戦略強化

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車載パワートレイン内部接続用の基板対基板フローティングコネクタ車載パワートレイン内部接続用の基板対基板フローティングコネクタ

自動車や携帯端末など技術革新進展で活性化 

 コネクタメーカー各社は、中長期の成長に向けた戦略を一段と強化している。次世代高速通信規格5GやIoT、Society5.0などの新潮流が到来する中で、携帯端末や自動車、産業機器/装置、インフラ産業など、あらゆる分野で技術革新が進み、コネクタへの技術要求は一層高度化している。各社は、中長期の視点に立ったコネクション/接続技術の開発と、グローバルでの営業・マーケティングの強化に努めることで、今後もイノベーションによる成長を目指す。

 コネクタのグローバル需要は世界経済成長の波に乗り、13年以降、18年にかけて長期にわたる拡大基調が続いた。

 米調査会社B&Aによるレポートでも、世界のコネクタ市場は、17年、18年と2年連続で2桁成長を達成した。JEITAが発表している日系電子部品メーカーのグローバル出荷統計でも、17年度(17年4月-18年3月)のコネクタ出荷額は前年度比13%増となり、あらゆる電子部品の中でも高い伸びを示した。

 一方で、18年の世界のコネクタ市場は、年前半は高位巡航で推移したものの、18年秋以降は、米中貿易摩擦の激化や中国経済の減速などにより需要が軟化。19年についても米中摩擦長期化などで需要低迷が継続し、力強い回復には至っていない。20年のコネクタ市場に関しても、年前半はやや慎重な見方が強いが、調整一段落後は20年の年央から後半にかけて、尻上がりの回復が予想されている。

 近年のコネクタ市場の成長を支えているのは、分野別では電子化/電動化が進む自動車や、世界的な自動化ニーズを背景とした産機/FA分野。民生系では、スマートフォンの高機能化やウエアラブル端末市場の成長が、超小型で高性能なコネクタの需要拡大を促進している。

 20年の世界のコネクタ市場の展望は、スマホ需要が比較的堅調に推移する一方で、中国をはじめとする世界的な自動車新車販売の低迷や、米中摩擦の長期化を背景とした設備投資需要の減退などにより足元ではやや厳しい状況が継続している。加えて、英ブレグジットの行方や、直近では中国で発生した新型肺炎の経済への影響なども懸念されている。

 しかしながら、コネクタの主要マーケットである自動車、産業機器、携帯端末、通信インフラといった産業分野では、いずれも大きな技術革新が進行している。こうした技術革新の進展が、コネクタの中長期の需要を活性化させていくのは間違いない。

 特に、多くのコネクタメーカーが最重点市場に位置付ける自動車市場では、「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアード&サービス、電動化)」をキーワードとした車の進化がコネクタの技術革新を加速させ、新たな高付加価値コネクタの需要を創出していく。

 産業機器/ロボット関連では、AIやコネクテッドインダストリなどをキーワードとした技術革新が進み、世界的な労働者不足問題と相まって、市場が大きく拡大していくことが見込まれる。

 コンシューマ系では、今後の市場本格化が見込まれる5Gスマホや5Gタブレット、高性能ウエアラブル機器市場の成長が、新たなコネクタ需要を押し上げていくことが期待されている。

 19年から立ち上がった5G基地局需要も、20年はさらに加速化が見込まれる。20年夏の東京五輪に向け、4K・8K機器や放送システム関連の需要への期待も高まっている。同時に、東京五輪を契機とした自動車運転技術への関心の高まりも期待されている。

 IT・エレクトロニクス技術が高度化し、多様な産業分野で電子化やネットワーク化、大容量高速伝送化が進む中、コネクタの重要性は一段と増していく。コネクタ各社は、中長期の視点に立った技術開発や戦略的投資を加速させることで、今後も継続的な事業拡大を目指す。