2023.03.29 【関西エレクトロニクス産業特集】 関西の最新分野別動向 ローカル5G
大阪・夢洲(手前がL5Gの実証実験現場、写真提供=大阪港湾局)
推進フォーラムが活動終了
活用へ大きな役割果たす
ローカル5G(L5G)は、さまざまな問題を抱える地域社会の課題解決のために無線通信の多くの利点を持つ「5G」技術を利用する動きを指す。いまではその利用に向け全国に動きが拡大、実証実験が行われている。
近畿では近畿総合通信局が音頭を取り、域内の地方自治体や企業がL5G活用への取り組みを推進する組織「近畿ローカル5G推進フォーラム」が設立されたが、3月13日の8回目の会合を最後に、3年弱の活動が終了した。
同フォーラムは今後の活動を、開催に協力してきた近畿情報通信協議会に移管。関係者の間では、フォーラムの活動は関西圏企業のL5G推進に大きな役割を果たしたと評価する声もある。
会合終了の総括としてフォーラムの座長を務めた大阪大学大学院の三瓶政一教授は、L5Gシステムを供給する企業に対し「キャリアの5Gとは違う視点で取り組んでもらいたい」と助言。座長代理の京都大学大学院原田博司教授は「ローカル5Gをより身近に利用し、新しい技術の種創出の場を目指してほしい」と述べた。
フォーラムが活動した約3年間で、民間企業や地方自治体は実証実験の段階へ移り、近畿圏でもこれまでに多くの実証実験が行われ、今年になっても続いている。
1月30日、NTT西日本、夢洲コンテナターミナル、三菱ロジスネクスト、大阪市、阪神国際港湾、京セラコミュニケーションシステム、NTTビジネスソリューションズがコンソーシアムを組んで、大阪・関西万博の開催予定地の夢洲で港湾・コンテナターミナルのDX実現に向けた実証実験を開始した。
さらに先週24日まで、L5Gを活用して港湾業務の効率化や周辺道路の混雑緩和に向けた実験が行われた。コンテナターミナル特有の海面などの影響を考慮した電波伝搬特性を調査したほか、トレーラー待機場の混雑状況などの可視化による車両来場時間の平準化などを検証した。
3年間に及ぶコロナ禍も落ち着き、アジアからのインバウンド客が回復してきた近畿。2025年の大阪・関西万博を控え、〝近畿発〟の新しいL5Gを活用したサービスの提供が期待される。