2023.03.29 【関西エレクトロニクス産業特集】 関西の最新分野別動向 ヘルスケア
ヘルスケア関連ビジネスに取り組む企業が増えた(写真はNTT PARAVITAが展開するサービスで使う睡眠を計測する機器)
各社が今後の成長事業の柱に
空気質向上や健康経営など
コロナ禍で健康への意識が高まる中で、企業も健康経営に力を入れるとともに、ヘルスケアに関わるさまざまな事業活動にも力を入れている。
関西の各社でも、ヘルスケア関連産業を今後の成長事業の柱に据えて、新規事業開発に力を入れる企業は多い。
パナソニックでは、成長事業の一つとして空質事業を持ち、ナノイーX搭載家電や次亜塩素酸除菌脱臭機ジアイーノといった商材で空気質の向上に貢献している。
同社では、換気を含め、室内の空気質を高める商品戦略を加速させており、住宅、非住宅分野において、空間全体の清潔、快適ソリューションの提案を加速している。
シャープも「ESGに重点を置いた経営」に力を入れており、健康関連事業のさらなる強化を、成長戦略の柱の一つに据えている。新規事業としてデジタル補聴器や光触媒スプレーといった提案に取り組むほか、今後もヘルスケア関連のさまざまな新規事業開発を強化している。
同社では除菌効果に優れるプラズマクラスターイオン(PCI)技術を搭載したエアコンや空気清浄機などPCI商品のラインアップを拡大しており、新規商品開発も活発化させている。
PCIデバイスの外販事業にも力を入れ、自動車やエレベーター、鉄道など幅広い空間への採用も広がり、2030年度には累計2億台の販売を目指している。
ダイキン工業では、同社独自の酸化分解技術で、有害物質などを分解するストリーマ技術をルームエアコンや空気清浄機に搭載し、快適な空間提案に力を入れている。
また、カルテックでは、同社の光触媒除菌脱臭機のラインアップを強化した。コロナ禍で除菌脱臭機の首掛けタイプの販売が伸び、ブランド力を高めている。
こうした空気質関連のビジネスが拡大する一方、良質な睡眠による健康増進や生産性向上に着目したビジネスも登場している。
NTT西日本とパラマウントベッドが出資し、21年に設立されたNTT PARAVITA(NTTパラヴィータ)は、睡眠不足に伴う労働生産性の低下、健康阻害などの問題に対処するため、日本初の睡眠改善サポートサービス「ねむりのあれこれ」など、睡眠に関するサービス事業の拡大に力を入れている。