2023.03.29 【関西エレクトロニクス産業特集】関西セットメーカー、成長分野へ投資集中
白物・海外市場強化など
構造改革にも力を入れる
厳しい経営環境のなか、関西に拠点を置く大手セットメーカー各社は、構造改革に力を入れる一方、成長分野への投資を集中させ、業績向上を目指す。
空質空調など
パナソニックでは、空質空調や海外電材、白物家電など7重点事業を中心に、成長分野への投資を強化し、事業拡大に力を入れている。なかでも、事業拡大のけん引役の一つが空質空調設備事業だ。このうち、特に欧州市場向けのヒートポンプ暖房給湯機(A2W)の拡大が顕著で、生産、研究開発、販売・アフターと現地最適体制の構築を図り、旺盛な需要に対応する。
また国内、海外で配線器具など電材事業も拡大している。海外ではインド・ベトナム・トルコを3重点地域とし、各地域で開発・生産・販売体制を強化し、シェア拡大に取り組む。
このほか、環境配慮型のビジネス構築を加速すべく、エネルギーソリューションの展開を強化するなど、中・長期的視点で拡大が見込める分野への取り組みを加速させている。
ダイキン工業では、事業環境が想定以上に厳しいなか、主力の空調事業において、販売力の強化やトータルコストダウン、戦略的売価施策などの重点施策の実行を徹底、2023年3月期は過去最高の売上高・営業利益をさらに更新する見通しだ。
国内のルームエアコンではフラッグシップモデルの「うるさらX」など差別化商品戦略を加速し、電気代高騰を背景に高まる省エネニーズの需要を取り込んだ。
また米国の住宅市場では、環境配慮商品であるインバーター搭載商品「FIT」も健闘した。
さらに欧州市場ではヒートポンプ暖房のラインアップ強化やIoTを使ったサービスの強化で前年を大きく上回る業績を上げるなど、主要地域全てで業績を伸ばしている。
黒字化達成へ
シャープは、白物家電やビジネスソリューション、エレクトロニックデバイスの増収で売上高は伸びたが、為替と堺ディスプレイプロダクト(SDP)の連結化が影響し、最終赤字となった(23年3月期第3四半期累計)。通期の業績も下方修正し、赤字の見通しだ。
「危機的な状況にいち早く対処し、23年度黒字化達成に向け、抜本的な構造改革をやり遂げ、持続的成長に向けた事業基盤の強化に取り組む」(沖津雅浩代表取締役副社長執行役員)考えだ。
液晶パネルでは、これから伸びるAR/VRといった新分野や、車載関係に注力するほか、B2C/B2B領域ともハードウエアだけでなくソリューション提案に力を入れる。
白物家電分野では「AIoT家電を使い、ほかの機器やサービスとつながることで新しい価値を提供していく。デジタルヘルスケア領域ではPCI技術などコア技術で、健康に貢献できる機器の提供を強化したい」(沖津副社長)と話す。