2023.03.29 【クラウドサービス特集】内田洋行 スマートオフィスナビゲーター 人と空間の情報集約 スマホなどで社員の位置把握

スマートオフィスナビゲーターのスマホ画面(左)とPC画面のイメージ

 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、在宅勤務が普及した一方で、オフィスの在り方を見直す動きも広がっている。在宅勤務と出社勤務のハイブリッドワークが進んだことで個人の座席を固定しない「フリーアドレス制」を取り入れる企業も増えてきた。そこで課題になるのが、社員同士がどこにいるか分からず、コミュニケーションが不足するという懸念だ。

 オフィス家具の製造販売や企業向けのシステム開発を手掛ける内田洋行は、社員の位置情報と社員情報をひも付け、相手の状況を可視化しながらコンタクトの方法やタイミングを効率よく提供するクラウドサービス「Smart Office Navigator(スマートオフィスナビゲーター)」を、三菱自動車との協創で開発。新たに浮上したコミュニケーションの課題に対応している。

 スマートオフィスナビゲーターは、社員全員が使用するスマートフォンやノートパソコン(PC)の無線LANのやりとりから社員のいる位置やフロアの利用状況を把握。スマホやPC画面上に、社員の居場所や、会議室の利用状況、オフィスの混雑情報などの人と空間のさまざまな情報をリアルタイムで集約し、必要な情報を提供することで生産性の向上を支援する。

 その日の利用目的に合わせて、条件に合った会議室や、探したい社員の前後の予定情報の検索をはじめ、マイクロソフト365などと連携して相手の状況を可視化しながら、コンタクトの方法やタイミングを効率よく提供する。

 また、混雑度合いや利用状況を感知するセンサーやカウントカメラの情報から会議室や執務エリアの利用状況のデータを取得。分析結果をもとに会議室環境の大幅なリニューアルや運用改善につなげる。

 内田洋行ネットワークビジネス推進統括部の長澤達朗課長は「コロナ禍を経て、研究や開発部門も含めた生産拠点での活用が増えている。特に広大な敷地に複数棟が立地する大規模研究機関では移動時間の大幅な削減など生産性向上につながっている」と説明。今後、敷地内全体で居場所を表示する機能拡張も行うことにしている。

 一方、温湿度や二酸化炭素濃度などビルやオフィス内の働く環境にも配慮。照明・空調の稼働状況を手元のスマホで可視化し、照明や空調、換気といった館内設備の操作も行える機能も追加された。

 長澤課長は「オフィスのレイアウトや設備の環境改善に役立つ機能も拡充した。AI(人工知能)による空調制御技術を活用し、快適性と省エネを両立する取り組みも進めている」と述べ、スマートビルシステムとの連携も進める方針を示した。