2023.05.11 家電量販店5社決算出そろう 3社減収、非家電やEC、店舗DXが鍵
家電の販売は鈍化。店舗DXによる体験価値向上も今後は重要になる
家電量販店5社の2023年3月期(22年4月~23年3月)連結決算が出そろった。物価高による消費マインドの冷え込みに加え、旅行や観光などへの支出傾向が強まったこともあり、ヤマダホールディングス(HD)、ケーズホールディングス(HD)、上新電機の3社が減収となった。今期も市場環境は厳しい見方が大勢だが、非家電やEC(電子商取引)、SDGs(持続可能な開発目標)対応など多様化するニーズに応える品ぞろえと体制の整備とともに、DXを生かした店舗力の強化も、業績の明暗を分ける要素となってきそうだ。
最大手ヤマダHDは、住宅やリフォーム事業で、本業の家電とのシナジーを本格化させている。前期は住宅事業の売上高が2700億円を突破する規模となった。同社は3000坪(9900平方メートル)超の売り場確保を前提に今後、大型新業態店「ライフセレクト」を年間10店程度展開し、暮らし丸ごとのシナジー発揮を目指す。
ケーズHDは、既存店の売り上げ維持と出店によるシェア拡大を軸にした販売戦略を推進。前期は減収減益となり、24年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標値を取り下げたが、基本戦略は変更せず、買い替え需要を捉え、接客力の高さを生かして高付加価値品の販売につなげる。
エディオンは、エアコンや冷蔵庫、ドラム式洗濯乾燥機といった付加価値の高い商品がけん引するとともに、リフォーム事業が業績を押し上げている。リフォーム事業は前期で620億円に拡大。家具大手ニトリとのコラボ商品の開発や、家具と家電を組み合わせた売り場づくりなどで、事業を成長させる。
ノジマは、「省エネコンサルタント」「通信費コンサルタント」といった消費者の関心が高いテーマを社内資格として運用し、業績にも寄与しているとする。前期は家電事業に加え、海外事業も伸びている。
上新電機は、EC事業の拡大を目指して物流機能の強化を進めてきた。EC売上高は755億円を突破。25年度に向けた新たな中期経営計画を策定し、店舗DXの活用などで、収益力を高める経営戦略を進める。
(12日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)