2023.05.11 電子部品メーカー、半導体関連部品の増産投資が活発化 新工場建設や既存工場拡張相次ぐ

ヨコオのベトナム新工場

 電子部品メーカー各社の半導体関連部品増産のための新工場建設や既存工場拡張の動きが活発化している。各社は半導体市場の中長期の成長に照準を合わせ、今後も国内外での積極投資を実行する。

 半導体の世界需要は、足元ではメモリー系を中心に調整局面が続いており、WSTS(世界半導体市場統計)による2023年の世界半導体市場予測もマイナス成長を予測している。

 それでも、半導体グローバル市場の中長期の成長期待に変化はなく、情報通信技術の高度化や自動車の電子化・電動化、社会全体のデジタルシフトや自動化ニーズの高まりなどを背景に、今後も右肩上がりの推移が確実視されている。

 このため、半導体関連部品を手掛ける電子部品メーカーは、中長期視点での設備投資増額を進めており、国内外で新工場建設や新工場棟増設などの動きが活発となっている。特に最近は、BCP(事業継続計画)やサプライチェーン強靭化の観点から、国内投資を強化する企業も多く、台湾TSMCをはじめとする半導体デバイスメーカーの進出が活発な熊本地区での新工場建設なども計画されている。

 京セラは先頃、長崎県諫早市に半導体関連用ファインセラミック部品や半導体パッケージの生産を行う新工場を建設すると発表した。23年度に着工し、26年度生産開始を予定。敷地面積約15万平方メートルの広大な土地を取得予定で、投資額は約620億円(28年度まで)を予定する。

 ヨコオは、ベトナムで半導体検査用プローブ製造の新工場「ヨコオ・エレクトロニクス・ベトナム」(フンイエン省)を今年2月に稼働した。同社初となるクリーンルーム内でのプローブ製造体制を整備。フル稼働時期は23年6月を予定。

 山一電機は、フィリピン・バタンガス州に「フィリピン第3工場」を建設する。半導体テストソケットの安定供給体制構築や、車載機器、通信機器、産業機器向けの生産能力増強を図る。今年5月に着工し、24年4月の生産開始を予定。このほか、半導体テストソケットなどの生産体制増強のため、佐倉事業所(千葉県佐倉市)でも新棟を建設し、24年4月の生産開始を予定する。

 フェローテックホールディングスは、半導体製造装置部材のセラミックスの増産のため、石川第3工場(石川県川北町)を建設する。今年6月に着工し、24年夏の操業開始を予定。さらに、TSMCの新工場建設地に隣接する熊本県大津町に新たな生産拠点を建設する。竣工時期は24年中を予定する。海外ではマレーシア新工場を建設中で、今年9月頃の操業開始を予定する。