2023.05.11 政府のAI戦略会議が初会合、岸田首相「幅広い分野の早急な検討」指示

会議に臨む岸田首相(右から2人目)出典:首相官邸のホームページより

 人工知能(AI)を巡る政策の方向性について有識者と議論する「AI戦略会議」が動き出した。岸田文雄首相は11日に首相官邸で開かれた初会合に出席し、AIが持つポテンシャルとリスクを踏まえながら、幅広い分野の検討を早急に進めるよう指示した。

 AI戦略会議は技術に限らず、法制度や倫理などの専門的な知見を持つ有識者で構成される会議。岸田首相は初会合の議論を踏まえて、「AIには経済社会を前向きに変えるポテンシャルとリスクがあり、両者に適切に対応していくことが重要」と強調した。

 岸田首相は、各国がそれそれの事情に応じてAIとの向き合い方を模索している現状にも言及。「国境を越えたグローバルな課題であり、G7(主要7カ国)議長国として、共通理解やルール作りにリーダーシップを発揮することが求められる」との認識も示した。

 AIを巡っては、既に村井英樹首相補佐官が率いる「AI戦略チーム」が立ち上がっている。戦略チームは戦略会議での議論も踏まえ、関係省庁と連携しながら多様な課題に対応する構えだ。岸田首相は戦略チームにも触れ、「ポテンシャルの最大化とリスクへの対応に向けて、幅広い分野で検討作業を早急に進めてほしい」と述べた。

 岸田首相は9日、AIに関するビジネスを手掛ける若手経営者らとの車座対話に出席。そこで今回の戦略会議を新設する方針を表明していた。

 利用者の指示に基づいて文章や画像を自動的に作り出す米新興企業開発の生成AI「Chat(チャット)GPT」の登場などをきっかけに、AIを取り巻く環境が大きく変化。業務の生産性を高める効果などに注目が集まる一方、プライバシーや著作権の侵害、誤情報の拡散といった懸念が浮上している。