2023.05.25 【LED照明総合特集】照明のスマート化が拡大傾向

ネットワークにつながるスマート照明の存在感は今後さらに高まるはずだ

 Lighting5.0で掲げる「健康」「安全」「快適」「便利」。コロナ禍を経て社会的な関心が高まった除菌する光、家庭におけるくつろぎを演出する柔らかい光など、多様なシーンで光は活躍する。現在、そんな光を実現する上で存在感を増しているのが、ネットワークにつながるスマート化だ。

 LED全盛の現在、照明器具のバリエーションは増え、あかりの質も高まっている。例えば、シーリングライトは調光調色機能を備えた器具が当たり前のようになりつつある。ただ、それはリモコンを使って個別に制御するのが一般的だ。

 照明のスマート化は、こうした状況に変革をもたらすものと言える。特に家庭内にあるさまざまな機器がネットワークとつながるようになり、市場はこれからといったところではあるものの、スマートホームの普及拡大に向けた動きも国内で出てきている。照明側でもこうした動きは見逃せないところだ。

 Wi-Fiやブルートゥースを搭載したLED照明も、住宅、非住宅それぞれの分野で増えている。オフィスや商業施設などでは、照明制御システムによる一括制御や、朝、夕など時間帯に合わせた調光調色なども増えてきた。

 ただ、スマート照明の普及は、一般消費者の認知拡大や理解を深めることが重要。エアコンや冷蔵庫、テレビなどさまざまな家電がネットワークにつながる中、利用したくなるような機能や利便性をスマート照明で提案することが必要になる。特に住宅内では他の家電やIoT機器との連携も視野に入れなければならない。

 日本照明工業会(JLMA)の統計によると、スマート照明などを含むLighting5.0と定義付けられる照明は、照明器具全体の出荷台数に占める割合が2022年度(22年4月から23年2月累計)で19.5%となっている。住宅用では23.0%と分野別では最も高い。

 一般消費者が触れやすい住宅用でスマート照明は増えつつあるといえるが、実際に導入しているユーザーはそう多くないのが実情。スマート化といっても、スマートフォンの専用アプリでオン/オフできたり、明るさを調節したりするだけでは付加価値が伝わりにくい。帰宅すると自動で点灯するなど、スマートホームの一環としての提案もこれからは重要になってきそうだ。

 とはいえ、照明がスマホやスマートスピーカーとつながるようになり、新たな価値が生まれ始めている。製品単体の性能や機能よりも、サービスと連携したソリューションの提案であったり、シーンに合わせた演出であったりと、空間や環境と密接に関わる照明だけに、スマート化した際のコト提案は肝になる。それは、メーカー視点での製品開発の枠を超え、ユーザー視点で柔軟なアイデアを掘り起こすことが鍵を握る可能性もある。

 そうした意味で、JLMAが初開催する「未来のあかり アイデアコンテスト2023」は、今後、国内の照明市場の活性化につながるヒントが生まれる期待がある。