2023.06.13 QPS研究所の「QPSーSAR6号機」が打ち上げに成功 36基の衛星網の1号機
PV会場で打ち上げ成功を祝う関係者ら
小型SAR(合成開口レーダー)衛星のQPS研究所(福岡市中央区)は13日、同社が目指す衛星コンステレーション(衛星網)構築の1号機となる小型衛星「QPSーSAR6号機(愛称=アマテルーⅢ)」の打ち上げに成功した。
同機は米スペースX社の「ファルコン9」ロケットに搭載され、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙空軍基地から日本時間の午前6時35分に打ち上げられた。午前7時54分には高度約540キロメートルで軌道投入。午前9時半ごろ、初交信に成功し機器などが無事に作動していることを確認した。
QPSは、2005年に創業した九州大学発スタートアップだ。北部九州を中心とした全国の企業と協業。マイクロ波を地表に照射し、跳ね返ってきたマイクロ波からデータを取得するSAR衛星の開発、製造を手掛けてきた。
同社は2025年以降に、36基の小型SAR衛星によるコンステレーション構築を目指す。地球上の任意の場所を平均10分間隔で観測するデータサービスを提供する計画で、防災や農業などに役立つとしている。
昨年10月には「QPSーSAR」の3、4号機(アマテルーⅠ、Ⅱ)を宇宙航空研究開発機構(JAXA)のイプシロンロケット6号機で打ち上げたが、ロケットのトラブルにより軌道投入に失敗。続く5号機は打ち上げ契約をした米ヴァージン・オービット社の経営破綻を受けて、打ち上げ日程を調整している。
13日には福岡市内でパブリックビューイング(PV)が行われた。
打ち上げの様子を見届けた大西俊輔社長は「ここからが本番になる。より多くの衛星を打ち上げることで九州の宇宙産業の発展につながると思うので、そこに向けて歩みを進められれば」と力を込めた。
福岡県の服部誠太郎知事は「県内企業が製造に携わり、制御には本県発のプログラミング言語である軽量rubyが使われるなど『福岡県版下町衛星』といえる。皆さまが宇宙に果敢にチャレンジする姿は私たちの誇りだ」とメッセージを寄せた。
QPSは今後もコンステレーション構築に向けて衛星の打ち上げを進める考えで、来年6月までに、さらに3基の打ち上げも計画している。