2023.06.22 政府一丸で「マイナンバー」トラブル再発防止へ コロナ対応並みの臨戦態勢で、総点検本部始動

会合に臨む岸田首相(右隅) 出典=首相官邸のホームページより

 政府は、マイナンバーを誤ってひも付けるトラブルに対応するため、省庁横断の「マイナンバー情報総点検本部」を立ち上げた。21日に首相官邸で総点検本部の初会合を開催。岸田文雄首相は議論を踏まえ、関連するデータやシステムの総点検に加えて、新たな誤り事案が生じないようにするための仕組みづくりなどを進めると表明した。相次ぐトラブルでマイナンバー制度に対する国民の不信感が高まっているだけに、国民目線で丁寧な議論を尽くす対応が求められそうだ。

 本部長には、河野太郎デジタル相が就任。対象となる情報を多く所管する厚生労働省や自治体との連絡調整を担う総務省とも連携し、総点検と再発防止に努めたい考えだ。

 会合で岸田首相は、マイナンバーと医療や年金などの情報を誤ってひも付ける事案の再発防止に向けて、データやシステムの総点検をはじめとする3つの基本方針に基づいて対策を強化するよう指示。「デジタル社会への移行のためには、国民の信頼が不可欠。政府を挙げてコロナ対応並みの臨戦態勢で、国民のマイナンバー制度に対する信頼を一日も早く回復するべく、政府、地方自治体、関係機関一丸となって全力を尽くしてほしい」と強調した。

 さらに岸田首相は河野デジタル相に対して、マイナンバーに関する手続きについて総点検を行うよう要請。一連の誤り事案が確認された関連データだけでなく、全てのデータについて秋までをめどに総点検し総括するよう指示した。

 岸田首相は、2024年秋に予定している健康保険証の廃止にも言及した。廃止後には、最長1年間使える特例措置を設定。河野デジタル相には「合計2年半の猶予期間を活用して保険証とマイナンバーカードの一体化に関わる国民の不安払拭に取り組んでほしい」と述べた。

 加藤勝信厚労相には「医療介護関係者などと調整し、保険証の廃止を巡る一つ一つの不安に丁寧に対応してほしい」などと要請。松本剛明総務相には「高齢者や障害を持つ人などのカードの取得環境を整備してほしい」と語った。

 総務省は22日、岸田首相がマイナンバーのひも付けに関する総点検を進めるよう指示したことを受けて、「新型コロナウイルス感染症対策・デジタル化推進等地方連携推進本部」の会合を開催。本部長を務める松本総務相は、総点検を着実に推進するよう呼び掛けた。