2023.06.30 天竜精機が世界最小クラスのクリームはんだ印刷機出荷開始

「TSP-770」

装置占有面積生産性を向上
マイクロLED実装にも対応 

 セレンディップ・ホールディングス傘下の天竜精機はこのほど、世界最小クラスの装置サイズを実現したクリームはんだ印刷機「TSP-770」の出荷を開始した。

 近年、スマートフォン、タブレット、大型ディスプレーのバックライト向けにミニLEDやマイクロLEDの採用が加速している。

 これらのLEDサイズは0.3ミリメートル角程度と極小。スクリーン印刷においてマスク開口部が極小となり、クリームはんだを確実に充塡(じゅうてん)できなかった。また、基板への搭載LEDが極小のため基板サイズも小さく、従来装置では顧客の装置占有面積生産性に課題があった。

 これらの課題に対し、同社では3年前から微細印刷検証を独自に実施。マスク開口部が極小でも高充塡が可能なTHスキージを活用するとともに、Mサイズ基板までを対応とすることで装置サイズの小型化を実現した。これにより、微細印刷基板における装置占有面積生産性を向上させる。

 微細印刷の品質確保については、装置のみならずクリームはんだ、マスクなどの要素も大きい。同社ではクリームはんだメーカーやマスクメーカーと協業し、微細印刷における品質確保、顧客課題に対応する体制を整えた。既に台湾・中国の大手LEDメーカーと基板評価中で、順次販売する見込み。

 同社は顧客ニーズに対応した装置のカスタマイズに強みを持ち、生産性を最大限に引き出す生産ラインの構築を得意とする。コネクター自動組み立て機など60年以上の自動機設計製造のノウハウを生かし、22年度はクリームはんだ印刷と前後搬送工程のカスタム仕様装置を数多く手掛けた。

 クリームはんだ印刷工程における対象基板の特性、稼働工場独自の工程・工法にマッチしたカスタム仕様要求に対応すべく、TSP-770はユニットのモジュール化、設計変更に幅を持たせたコンセプトなど設計思想を一新。既存ユーザーの更新需要とともに、日本国内での特殊な案件ニーズに積極的に対応していく。