2023.07.11 【家電総合特集】アキュフェーズ 鈴木雅臣代表取締役社長

クリーン電源新製品が好調

イベント参加で積極アピール

 今年のハイエンド・オーディオ市場は、年初こそ新型コロナの感染拡大がピークに達して市場に活気がなかったが、3月頃から新製品の試聴会やオーディオショーなどのイベントが日本各地で開催されるようになった。感染症法上で新型コロナが5類に移行した5月以降は、例年に近い数のイベントが各地で開催されている。当社は、創立50周年記念モデルを中心に各地のイベントに積極的に参加している。

 そのような中で、5月に発売したAC電源の波形を理想化する「クリーン電源PS-550」の販売が好調だ。当社は、独自に開発した波形成形技術で低ひずみ・低雑音の電源を供給する「PS-500」を1996年に発売した。PS-550は、6世代目で、純粋なアナログ回路だけで構成した波形成型技術をブラッシュアップして性能と音質を進化させた。

 PS-550には、入出力波形の観測機能を新たに搭載した。一般家庭の電源波形は純粋な正弦波になるのが理想だが、実際はひずみや雑音成分によって理想的な正弦波から乖離(かいり)している。従来の機種では乖離の状態をメーターの針が示すひずみ率の値でしか知ることができなかった。

 PS-550では、測定器のオシロスコープのように、電源波形を直視できる観測機能を搭載し、直接観測することができるようになった。

 6月には「プレシジョン・ステレオ・コントロール・センターC-2300」を発売した。同製品は既発売のプリアンプ「C-2450」と「C-2150」を統合したモデルだ。この結果、当社のセパレート型プリアンプは「C-3900」「C-2900」と合わせて3機種になった。

 C-2300は、上級機C-2900の音量調整回路「Balanced AAVA」を搭載し、C-2900に迫る雑音特性を実現した。さらに、低域と高域に加えて中低域500ヘルツと中高域2キロヘルツの調整が可能な4バンド・トーン・コントロールを新たに搭載し、音楽の存在感や帯域バランス調整の自由度が格段に向上した。

 また、5月に発売したアナログ・ディスク入力ボード「AD-60」をオプション・スロットに増設した場合、AD-60の全ての機能をフロントパネルから操作できる。販売は好調で、初回生産分は完売している。

 今年後半のハイエンド・オーディオ市場は、室内でゆっくりと音楽を楽しめる「オーディオの秋」に向けて各地でイベントの開催がさらに増えていくと考えている。当社は積極的にイベントに参加して、対面でお客さまに製品をアピールしていく。