2023.07.21 【家電流通総合特集】コスモス・ベリーズ 牧野達代表取締役社長

ヤマダのインフラ積極活用

リアルとバーチャルで加盟店を支援へ

 コスモス・ベリーズとして設立してから今年で18年を迎えた。最初の10年は成長期で、電気店を中心に加盟店を次々と増やしていった。その後の8年は燃料店や電気工事店、工務店など業種も広げてきたが、一方で、加盟店に対して地域密着の活動を手厚くサポートするには改革も必要になっていた。

 ヤマダホールディングス(HD)としてHD化したのを機に、グループ会社として地域密着という原点回帰を重視し、加盟の審査を厳しくするなど改革に取り組んできた。ヤマダのインフラを活用し、家電や住宅、リフォームなどで加盟店にも地域密着のシナジーを発揮してもらいたいという考えからだ。

 5月、それまで「加盟店開発部」としていた部署を「加盟店推進部」に変更した。今の社会環境に合わせ、新型コロナ下で取り組んできたリモートによる情報発信や会議の仕組みを取り入れつつ、リアルな集まりも重視するための組織体制と言える。リアルとバーチャルを融合して加盟店を支援する体制だ。日本を五つのエリアに分けて、それぞれ担当者の顔が見えるようにもした。

 これからはエリアごとに積極的に活動したいと思っている。できれば毎月、リアルな交流会を開き、本部からの情報発信とともに、新型コロナ下では難しかった加盟店同士の情報交換の場としていきたい。

 各地で交流会を開けば加盟店同士のつながりが深まる。そうなるとコミュニティーができ、横とのつながりから活発な情報交換が行われる。

 加盟店同士の輪が広がれば、お互いができること、できないことを相談し、さらに補完し合えるようになる。お互いがビジネス上でも連携できるようになり、エリア内の活性化にもつながる。紹介などを通した新規加盟や異業種連携も進み、最終的には当社が掲げる異業種間の地域ネットワーク「ローカルプラットフォーム(LPF)」の立ち上げも考えられる。

LPFも視野に

 LPFも視野に入れて、交流会には非加盟店も参加できるようにした。加盟店が紹介する形で参加でき、客観的に加盟のいいところ、悪いところを見られるはずだ。交流会を増やすことで既存の加盟店への対応を強化し、当社の利用を増やすことにつなげるとともに、非加盟店が加盟店の状況を見てメリットを感じてもらえるようにしたい。

 加盟店の中でも多い地域電器店は、商品を自店で配送し、設置工事をできるのが強みになる。半面、地域店で働く従業員の数が販売や工事のキャパシティーでもあり、それ以上売ることはどうしても難しい。

 そこで当社は、ヤマダHDと連携した「ヤマダ宅配」という配送システムを用意している。商品の配送をヤマダ宅配に任せてしまえば、地域店などの加盟店は販売に集中できる。特に夏商戦のようなエアコンや冷蔵庫など大型家電の販売がピークを迎える繁忙期に有効活用すれば、販売をもっと増やせる可能性がある。

 例えば、思い切って配送の7割をヤマダ宅配にアウトソーシングしてしまえば、その分、営業を強化できる上、地域密着店にとって大切なアフターサービスで、しっかりとお客さまと心を通わせることもできる。

 当社は、「BFC.Net」というウェブ発注システムを加盟店に利用してもらっている。今はまだ対応できていないが、ヤマダ宅配もできるだけ早くBFC.Netから依頼できるようにしたいと思っている。利便性を高めることで、加盟店の利用をもっと増やしていきたい。

 ヤマダHDは、家電だけでなく、家具やインテリア雑貨、リフォーム、新築住宅まで暮らし丸ごと提案に力を入れている。当社もグループ会社として、地域に密着する加盟店に対し、こうした方向性の提案を強化していく。実際、リフォームに取り組む販売店はきちんと利益を上げ、地域での存在感も高い。そうした加盟店を各地で増やしていく。

 そのために当社ができることは、ヤマダHDのリソースを有効活用することだ。例えば、ヤマダの店舗にはリフォームコーナーがある。リフォームの入り口として案件を獲得しやすいトイレをはじめ、バスやキッチン、エコキュート、IHクッキングヒーターなど、関連する住設商品を充実させた店舗も少なくない。

 そうした店舗を使ってイベントを今後開催したいと思っている。加盟店がお客さまをヤマダの店舗に連れていき、実際に商品を見て、触って、体感してもらう。

 リフォーム自体は成約まで時間がかかるものだが、カタログなどで紹介するだけより、次につながる可能性は格段に高まる。店舗にはリフォーム以外にも家電品など多くの商材が展示されており、購入する気がなかった商品を含めて、お客さまの潜在需要の掘り起こしも期待できる。

 リフォームイベントは9月以降に開催する計画だ。まずはエリアごとの交流会で提案し、どういった形での開催が望ましいか、ディスカッションをしていく。加盟店の中には、グループの住宅メーカー・ヤマダホームズやリフォームの取次店として活躍しているところも多い。中古住宅の買い取りも既に案件が出ている。リフォームイベントは今後、加盟店がリフォーム関連のビジネスに取り組むきっかけにしたいと思っている。