2023.07.28 【育成のとびら】〈7〉 Z世代の仕事のやりがいとは
2年目から〝飽き/つまらなさ〟
先の見える価値提示を
「仕事の〝やりがい〟は何ですか?」という質問にあなたならどう答えるだろうか-。
就職情報などを提供する学情(東京都千代田区)の2022年10月の発表によると、20代の社会人の中で「仕事にやりがいを感じている」割合は8.2%、「やや感じている」でも22.0%にとどまり、およそ7割が仕事にやりがいを感じていない、と回答したことが分かった。
本連載のこのシリーズでは、若手社員の離職予防と早期活躍を実現するヒントを紹介してきた。
今回はその締めくくりとして、若手社員が仕事の〝やりがい〟を見失う原因とその解決策を実際の調査結果を基に探っていく。
結果をみて驚くのは〝飽き〟や〝つまらなさ〟を感じている若手社員の多さである。
22年7月に当社ラーニングエージェンシーが実施した入社2~4年目の社会人900人の意識調査結果によると仕事に〝飽き〟を感じている社員が最も多かった年次は入社2年目(49.3%)で、なんと約半数が「仕事に飽きた、つまらない」と回答していた(図1)。
「2年目の半ばでは仕事の面白みもまだ感じられないのでは」と思う方もいるだろう。しかし、他年次を見ると3年目が44.0%、4年目では48.0%が同様の回答をしており、一概に年次の浅さが原因とは言い切れない。
では何が原因なのか。続けて年次別に〝つまらなさ〟を感じる場面を質問した。
意義が分からない
2年目の最多回答は「仕事の意義が分からない」(17.6%)時で、他年次より5ポイント以上高い結果となった。対して3・4年次は共通で「いつも同じ業務をやっている」時、「やりたい仕事ではない」時が上位を占めた(図2)。
ここに現在の若手社員の〝やりがい〟の実態がうかがえる。2年目までの〝やりがい〟は、まさに〟遣り甲斐〟であり、現在の業務に意義・価値を求めている。しかし3年目以降はそうではない。
彼らは「現在の仕事」、つまり〝遣り(やること)〟の意義だけでなく、「将来の自分」にとっての〝甲斐(価値、投資)〟、つまり多様な経験が得られることや自身の志向と合う仕事を求めているといえよう。
将来のビジョン支援
本連載では、2~4年目を若手社員とひとくくりにし、同じ価値観・同じ悩みを抱えた存在と見なすのは危険であり、各年次の異なる不安・異なる志向に寄り添うことが大切だと、繰り返し述べてきた。
既に将来を見据えている3・4年目に当座の〝やりがい〟だけを与えても不安は解消されない。先の見えないこの時代にどれだけ将来のビジョンを描くサポートができるかが企業には試されている。
次回からは「職場のコミュニケーション」をテーマに、コロナ禍を経て社内の情報連携はどう変わり、そしてどう在るべきかを考えていく。(つづく)
〈執筆構成=ラーニングエージェンシー〉
【次回は8月第2週に掲載予定】