2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】アイティフォー 佐藤恒徳社長

マルチ決済事業など

強化ブロックチェーンも本格化

 サイバーセキュリティーも含めた社会インフラのデジタルトランスフォーメーション(DX)の需要は高く、受注が前年同期比34%増と順調だ。サポートトータルで支援するストックビジネスと、新しいシステム開発の両輪で進めていきたい。

 1台でマルチ決済ができる決済クラウドサービス「アイリッツペイ」を中心とする決済システムは4月に事業部に昇格させた。事業の柱として本格的に育てていく。アイリッツペイは千葉銀行や静岡銀行、琉球銀行など8金融機関に採用されて着実に伸びている。3年後には20行まで拡大したい。アンドロイドOSを搭載した最新端末も投入したほか、自動販売機の在庫管理などと連携させた仕組みも実証を進めている。

 強みである地銀とのネットワークを生かし、サイバーセキュリティー事業も広がってきた。引き続き東京都から委託されたほか、地銀を通じて地元企業のネットワーク更新やセキュリティー強化を受注できている。

事業化目指す

 デジタル社会の鍵を握るブロックチェーン(分散型台帳)技術にも注力している。九州工業大学などと産官学連携で進めてきた電子証明書交付の実証実験で蓄積したブロックチェーンのノウハウを活用して、5月には熊本県主催の公募型企画コンペの受託者に選ばれた。

 提案したのは、貸金庫と終活ノートを組み合わせたサービスで、生前整理事項やデータ受取人などをスマートフォンから登録できる仕組み。ブロックチェーンで保管するため改ざんの心配がないのが特長だ。これら技術を応用してインターネットバンキングやスマホ決済に組み込み、事業化を目指したい。

 自治体向け事業では、BPO(業務アウトソーシング)が順調だ。16都道府県44団体に採用され、税金の滞納管理システムと組み合わせた「デジタルBPO」も利用が広がっている。特に教育分野のBPOに注目している。教員の長時間労働が社会課題となる中、当社のコールセンターで苦情や相談を受け付けることで負担軽減を図り、教育の質向上につなげたいと考えている。来年度にも実施したい。

 2023年度は、売上高210億円、営業利益32億円を目指す中期経営計画の最終年度であり、次期中計のたたき台づくりを始めた。社会は急速に変化しているが、10年後のビジョンを実現するために3年後にどういう立ち位置にいるかを考えて策定していきたい。