2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】三菱電機ITソリューションズ 山本徹雄社長

クラウドで売り上げの50%へ

電子薬歴サービスなど3スキームを展開

 2023年前半の当社を取り巻くICT市場は引き続き堅調である。長く低迷していた流通・飲食においても投資意欲は戻りつつあり、全業種・分野とも好調を保ちながら進んでいる。ヘルスケアでは、電子処方箋に関連するソフトウエアが保険薬局を中心に導入が順調に進んでおり、また、酒販店向けのクラウドサービスも想定を上回る受注が積み上がってきている。

 こうした状況下、当社では、改めて「クラウドビジネス戦略」を策定し、将来的にはクラウドで売り上げの50%を目指す計画である。具体的には、三つのビジネススキームを展開する。

 一つ目は、自社パッケージのクラウド(SaaS)化であり、保険薬局向け「電子薬歴サービス」が6月にリリースされた。地域社会における〝次世代コミュニケーションサービス AnyCOMPASS〟として期待が高まっており、滑り出しは順調である。社会保険労務システム(ARDIO)の「電子申請機能」も10月にリリース予定である。「新就業管理」も24年度に向け開発中など、順次投入していく。

 二つ目は、市場評価の高いSaaS製品を当社経由でサービス提供する。10月には専用のECサイトも開設し、デジタルマーケティング手法を採用し、これまで応え切れていなかった細かいお客さまのニーズに対してタイムリーな情報をお届けできるよう、社内体制・仕組みを見直した。初年度はHorizontal(全業種型)30製品を投入する。

 三つ目は、製造業・サービス業のお客さまに対し、実績のある基幹系コアパッケージと各種SaaSをWebAPIにて連携することによって機能補完・強化した「ハイブリッドクラウドモデル」に力を入れていく。トータルサービスとして提供することにより、多様な顧客ニーズに応えることが可能となる。

 クラウドビジネスを進めていく人財育成にも力を入れる。要件を聴取し、これに合わせたシステムを提案、構築していくのではなく、業界・業種ごとの目指すべき姿を想定し、提案型アプローチ手法を身に付けていく。

 23年後半もデジタル化、DXニーズは継続すると予想している。クラウドビジネスへの移行は、データの扱いが容易になる。この流れをさらに発展させることでデータを利活用したビジネスも将来的には目指したい。社会に貢献しつつ、持続的な成長・発展を実現するとともに、従業員のエンゲージメント向上に向けた取り組みを進めていきたい。